PR

ニュース プレミアム

歌姫キム・ヨンジャの「超浮き沈み人生」(上) あの別荘で歌った「イムジン河」

 『帰って来(き)たヨッパライ』(昭和42年)で大ヒットを飛ばしたフォークルは43年、第2弾シングルとして、アマチュア時代から歌っていたこの曲を作詞・作曲者不詳の「朝鮮民謡」として吹き込んだ。

 それを知った朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)が北朝鮮の正式国名(朝鮮民主主義人民共和国)と作詞・作曲者名を入れるよう抗議。政治的摩擦を怖(おそ)れたレコード会社が発売中止を決め、以来約30年間も“オクラ入り”になっていた、いわくつきの曲である。

歌手のキム・ヨンジャ
歌手のキム・ヨンジャ
その他の写真を見る(2/3枚)

 ヨンジャは、紅白出場の前年(平成12年)、原曲のメロディー・リズムを生かした上で、新たに、吉岡治(作詞家)が書いた日本語の詞を「2番」として加えた新バージョンの曲をCDに吹き込んでいた。

 「フォークル版もステキですよ。でも私には、叙情的で朗々と歌い上げる原曲の方が合うと思いました。この歌のメロディーはとてもきれい。“美人”だからこそ、苦難の道を歩んできたけど、歌に罪はないし、政治は関係ないでしょ」

 NHK側のたっての希望によって紅白で歌った『イムジン河』は、瞬間視聴率で、この年の紅白の番組内で2位をマークした。この前後から、再結成されたフォークルを始め、都はるみやイルカら、多くのアーティストがこの歌を再び取り上げるようになり、“封印”は解かれてゆく。

 かつては、「北朝鮮の歌なんか歌うな!」と、朝鮮戦争の従軍経験者らからブーイングを浴びたという韓国でも、次第に広がりを見せる。今や、平和を願う「アジアのイマジン」として英語やフランス語の訳詞も登場するスタンダードの名曲となった。

金総書記に呼ばれ

 ヨンジャは、13、14年の2度、北朝鮮でコンサートを行っている。12年6月、当時の韓国・金大中大統領と北朝鮮・金正日総書記との史上初の南北首脳会談で融和ムードが広がる中、ヨンジャのファンだった金総書記が“名指し”して実現した訪朝公演だった。

 ヨンジャ側は公演で一計を案じる。先の『イムジン河』をはじめ、「北」の曲を大幅に取り入れたプログラムを組んだのだ。それが評判を呼び、各公演では観客が殺到。急きょテレビでも中継される事態に。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ