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【酒呑み鉄子の世界鉄道旅】グローバルで最先端!ロシアの古都サンクトペテルブルクで次世代をつくる若者たち

建築物を見て歩くだけでも刺激的なロシアの古都サンクトペテルブルク
建築物を見て歩くだけでも刺激的なロシアの古都サンクトペテルブルク
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 【酒呑み鉄子の世界鉄道旅 フィンランドから鉄道で国境を越えたロシア旅(4)】

ゴージャスな寝台列車「グランドエクスプレス」が発着するサンクトペテルブルクは、モスクワに次ぐロシア第二の都市。ヨーロッパに目が向いていた大帝ピョートル1世によって1703年に新都として建設され、200年以上に渡ってロシアの首都となり、ロシア革命を経て内戦が起こり、第二次大戦で破壊され、やがてソ連が崩壊……と、激動の歴史と共に歩んできた。現在は、美しい街並みの残るロマンティックな観光都市として知られている。

 この街の見どころといえば、アート好きにはたまらない「エルミタージュ美術館」。ニューヨークのメトロポリタン美術館、パリのルーブル美術館とともに、世界3大美術館と称される、世界最大かつ最古の美術館のひとつだ。女帝エカテリーナ2世が本格的に収集した所蔵品は、なんと300万点以上。丸1日ここに滞在してもまったく時間が足りないほどで、サンクトペテルブルク滞在のほぼすべてを、ここに費やす旅行者も多い。

 もちろん歴史と美術鑑賞もいい。けれども街を食べ歩いてみると、モスクワとはまた違うユニークなムーブメントが起こっていた。

(写真・文/トラベルジャーナリスト 江藤詩文、取材協力:フィンエアー

エルミタージュ美術館のセルフィースポット。館内は自由に写真撮影できる
エルミタージュ美術館のセルフィースポット。館内は自由に写真撮影できる
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ピカソ、マティス、ゴーギャン、ゴッホと美術に明るくなくても知ってる名前ばかり
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 日本通のロシア人いわく、首都モスクワと古都サンクトペテルブルクは、東京と大阪のようなもの。お互いにそれぞれのテイストがあり、ちょっとライバル意識もあるとか。サンクトペテルブルク側に言わせると、より中東やアジアに近いモスクワはゴージャスでラグジュアリーな文化圏(たしかにあのキャビアとか…。納得)、「ヨーロッパの窓」として造られたサンクトペテルブルクは、おしゃれでシックな文化圏とか。

 サンクトペテルブルク発でロシア全土に定着した文化のひとつが「ジェントルマン精神」で、構成要素はいろいろあれど、日本人女性としてうらやましいのは「女性の荷物を持ってくれる」ことと「女性にお金は払わせない」こと。(ま、日本で生まれ育った私は、実のところワリカンが気軽でよいのですが)

観光客の急増により、ホテルは不足気味。民泊が流行している
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Uターンした若者ものたちが、手作りで内装を手がけたカフェ
Uターンした若者ものたちが、手作りで内装を手がけたカフェ
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 古都を観光都市として輝かせるために、若い世代の手により、古い建物を保存しつつ内側だけリノベーションしたカフェやアートギャラリー、ショップなどが生まれている。レストランも進化していて、新しいレストランが次々とオープンしている。

 ロシアとか東欧とかのレストラン、とりわけ高級レストランを語るときに外せないのが「失われた時代」を取り戻すという流れで、サンクトペテルブルクでも、グローバル化が進んでいる。せっかく国を超えて交流できるのだから、ヨーロッパや中東、アジア、日本の技術や食材を広く取り入れ、地元の料理と融合させて新しい料理を生み出そうというのだ。

サンクトペテルブルクの美食を世界的に有名にしたシェフ、ディミトリさん
サンクトペテルブルクの美食を世界的に有名にしたシェフ、ディミトリさん
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有名な「Duo Gastroba(デュオ ガストロバー)」のほか、よりラグジュアリーな新店「Tartar bar(タルタルバー)」をオープン
有名な「Duo Gastroba(デュオ ガストロバー)」のほか、よりラグジュアリーな新店「Tartar bar(タルタルバー)」をオープン
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 一方、世界的にグローバル化が進んでいるからこそ、自分たちの足元にある食材や伝統料理を、いま一度見直して今の時代に合った新しいかたちに作り変え、世界に発信したいという動きもある。サンクトペテルブルクの人にとっては、北欧とは食材や感覚、好みが近く、アクセスも便利で交流しやすいとか。一方で、ウラジオストクやサハリンなど極東ロシアとは、食材も料理もまったく違ってくるとか。そりゃそうだろう。大きな国土を持つ国だ。

 東と西で大きく異なる文化を尊重しつつ、同じロシア人として交流し、南米大陸がいま成功しつつあるように、ひとつの「ロシアの食文化圏」として発信したいというのが、サンクトペテルブルクの若手シェフが描く未来だ。

ロシアの伝統食材ビーツ(赤カブ)を現代的にアレンジした「Hamlet+Jacks(ハムレットジャックス)」のひと皿
ロシアの伝統食材ビーツ(赤カブ)を現代的にアレンジした「Hamlet+Jacks(ハムレットジャックス)」のひと皿
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同じビーツをテーマに、上の写真は前菜、こちらはデザートのチーズケーキにアレンジ
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 そんなサンクトペテルブルクを象徴するひと皿に出合った。ウズベキスタン人のシェフが半年ほど前に開いたこの店は、すでにロシア人で連日満席という、予約が取れない人気店。看板メニューのひとつが「カプチーノ風のスープに浮かべた水餃子」。ウズベキスタンには「チュチュバラ」というもっちりした皮の水餃子があるそうで、ロシアには「ペリメニ」という似たような料理がある。この店では、中身の餡はロシア風(スパイスをあまり使わずあっさり)、皮はウズベキスタン風(厚めでもっちり)、スープは、シェフが修行した南フランス風(ブイヤベースのダシの取り方)で、食べ方はなんと日本風(餃子とご飯のように、炭水化物であるパンを合わせる)。

 ちなみにもうひとつの看板は、日本人には超おしゃれなマグロの漬けのように見えるマグロの冷菜だ。

サンクトペテルブルクでもっとも気に入ったウズベキスタン人シェフの店「BIRCH(バーチ)」
サンクトペテルブルクでもっとも気に入ったウズベキスタン人シェフの店「BIRCH(バーチ)」
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バーチ風水餃子。サクサクと軽やかな仕上がりの、焼き立て自家製パンもいい
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 そう、ここまでグローバル化が進むと、もはや「何料理」というジャンルはほとんど意味を持たなくなり、「この人がつくる料理」という個人に、ファンがつくことになる。そのうえシェフは、いずれロシアに帰化したいそうで、そうなると「ウズベキスタン人が作る料理」とさえ言えなくなる。

 こんな時代に、「あの国の人はこうだ」「この国の人は嫌いだ」とカテゴライズするなんて、ほんとうに無意味なことだ。

 と、それは理解したうえで。グローバル化しているからこそ、「どこどこの国らしさ」をネタとして遊ぶのは、おもしろい。イギリス人が、これほど世界的に有名なレストランを多数輩出してもなお、自国の料理のまずさをネタにするように、ロシア人がネタにするのは、サービス(特に公務員や銀行など)の悪さ。日本でも「おそロシア」なんて言われるアレだ。

フィンランドのヘルシンキから、朝食を食べながらサンクトペテルブルクへ
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ヘルシンキとサンクトペテルブルクを結ぶ「アレグロ」の車内
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 「日本、大好き~」なロシアっ子に、日本人というだけで甘やかされ、すっかり気の緩んだ私を待ち受けていたのは、ロシアの空港の手厳しい洗礼。凝りない私は、その2ヵ月後に、さらにおそロシアな体験をすることになった。

 「ロシアには、ヘルシンキからおいでよ」という女友だちの薦めは、やはり間違っていなかった。時間にゆとりがある旅人は、ヘルシンキから陸路でサンクトペテルブルクへ。身をもっておすすめします。

サンクトペテルブルクには、路面電車が走っている
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国際高速列車「アレグロ」の走行時間は約3時間半。国境でパスポートチェックがある
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