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【釈徹宗が見たフェルメール】「マルタとマリアの家のキリスト」 なんともいえない心地よさ

ヨハネス・フェルメール《マルタとマリアの家のキリスト》1654-1655年頃スコットランド・ナショナル・ギャラリーNational Galleries of Scotland, Edinburgh. Presented by the sons of W A Coats in memory of their father 1927
ヨハネス・フェルメール《マルタとマリアの家のキリスト》1654-1655年頃スコットランド・ナショナル・ギャラリーNational Galleries of Scotland, Edinburgh. Presented by the sons of W A Coats in memory of their father 1927
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《マルタとマリアの家のキリスト》1654-1655年頃 スコットランド・ナショナル・ギャラリー

 この場面はイエス・キリストがマルタを諭し、妹のマリアをほめたとも言われます。しかし、フェルメールが描いたイエスのまなざしは柔らかく、いかにもリラックスした感じで座っている。イエスはよく、背景に光が描かれますが、この絵では神々しさに抑制が利いています。

 イエスの右手を真ん中に置き、3人の顔が放射線状に描かれています。イエスの手の表情は豊かで、ぐっと引き込まれる。手のひらを見せるというのはキリスト教に限らず、愛や慈悲、受容の象徴です。そして、光は理性の象徴。離れて全体を見ることで、神々しさが結実し、私たちを静謐(せいひつ)な気持ちにさせてくれる。何度も近付いたり、離れたりして見てほしいですね。

 フェルメールの絵の楽しみは、こうしたいくつかの意図的な仕掛けがあって、深読みできるところにある気がします。

 人間は心の領域がびゅーっとのびるのを感じると、すごく気持ちがいいものです。フェルメールの絵は、窓という境界を越えた光を描き込むことで、絵にはない見えない領域に、私たちの心をのばしてくれる。だからなんともいえない心地よさ、宗教性を感じるのでしょう。

     ◇

 【ガイド】「フェルメール展」 大阪市立美術館(同市天王寺区)で5月12日まで。入館料は一般1800円など。問い合わせは06・4301・7285(大阪市総合コールセンターなにわコール)。

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