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【中東ウオッチ】エジプトとイスラエル「冷たい平和」の40年

1978年9月17日、ワシントンで、平和条約の締結交渉の開始などを確認したキャンプ・デービッド合意に署名するエジプトのサダト大統領(左)とイスラエルのベギン首相(右)。当時のカーター米大統領(中央)が仲介した(ロイター)
1978年9月17日、ワシントンで、平和条約の締結交渉の開始などを確認したキャンプ・デービッド合意に署名するエジプトのサダト大統領(左)とイスラエルのベギン首相(右)。当時のカーター米大統領(中央)が仲介した(ロイター)

 エジプトとイスラエルの平和条約締結から3月26日で40年となった。4回にわたり戦争を行った両国の和解は中東の安定に大きな効果をもたらし、政府レベルでは治安維持などの面での結びつきも強まっている。半面、エジプト国民の間には、今も反イスラエル感情が根強く残り、国民同士の和解が実現したとはいいがたい。双方の妥協がもたらした「冷たい平和」の実態と経緯を振り返る。(カイロ 佐藤貴生)

■消せない反感

 「エジプトはアラブの連合のリーダーではなくなり、むしろイスラエルとアラブ世界の外交上の架け橋となった」(英字紙エルサレム・ポスト電子版)。イスラエルのメディアは最近、40年前の平和条約締結に関するこうした論評記事を相次いで掲載した。

 しかし、エジプトのアラビア語主要紙でこのテーマを正面から取り上げて分析した記事は3月27日現在、出ていない。背景にはイスラエルを忌み嫌うエジプト人の国民感情がある。

 それを象徴するのが、ムバラク元大統領が退陣して混乱が深まる2011年秋、首都カイロのイスラエル大使館が襲撃された事件だ。入居する建物に群衆が侵入して館内の文書をまき散らすなどし、イスラエルの駐エジプト大使が出国に追い込まれた。軍が普段、手厚い警戒態勢をしいて封じ込めてきた「本音」が噴出した瞬間だった。

 カイロ大のファハミ教授は「40年を通じ、両国ともに平和条約の変更や破棄を求めたことはなかった」と評価し、「(エジプトの民衆で)批判する者はわが国が得た政治的、戦略的利益を理解していないのだ」と述べた。

 一方、ある外国人の識者は「エジプト経済が回復し、名実ともにアラブの盟主に復帰すれば、国民は真っ先に平和条約を破棄せよと政府に迫るのではないか。一般のエジプト人はそれぐらい、イスラエルが嫌いで嫌いで仕方がない」との見方を示している。

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