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【正論5月号】私が中国を批判する理由 中国による人質外交を許すな 矢板明夫

※この記事は、月刊「正論5月号」から転載しました。ご購入はこちらへ。

 今回は中国で相次いでいる邦人の身柄拘束について考えましょう。突如としてスパイの汚名を着せられて、不当な取り調べを受け、裁判にかけられる。人権上も真っ当な法治国家という観点からもこうした暴挙が許されていいはずはありません。

 ですが、中国でこの問題を正面から追及している日本のメディアはあまりありません。北京に拠点を持つ大半のメディアも身柄拘束された事実や、有罪判決が出された事実について簡単に報じてはいますが、事実報道にとどまっていますし、記者の関心も低調といわざるをえません。腰を据えて中国の不当を正面から追及し続けている日本のメディアや記者はほとんどいないといっていいでしょう。

 約10年に及ぶ私の北京での取材生活にはいろいろな思い出がありますが、記者として一番衝撃を覚え、何とかしなければならない、と考えさせられ、奮い立たされた問題のひとつがこの「日本人スパイ問題」でした。

 これまで私たちが積極的にこの問題を取りあげてきたこともあって、日本国内、特に安倍晋三政権のもとでこの問題に対する永田町の関心は徐々にではありますが、高まりつつあります。その証左が昨年の安倍首相訪中のさいに習近平主席との首脳会談の席で首相が直接、邦人の安全について中国首脳に提起したことでした。

 私の期待レベルは、こうした不当な暴挙について中国側にきちんと抗議するだけでなく、身柄拘束された邦人を日本に連れて帰ることにあります。安倍首相の提起に中国側は、国内法に従って、粛々と手続きを進めているとして首相もそれ以上の追及はやらずに終わりました。期待するレベルから見れば、正直脱力感も否定できませんが、何しろ今までにこの問題を中国の首脳に正面から突きつけた首相は誰もいませんでした。「日本人スパイ問題」は日本という国が、国際社会の常識に照らして見た場合に国家としての体を成していない典型事例のひとつでした。そうしたことを考えれば、今回の安倍首相の問題提起の意義は決して小さくないと考えています。

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