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【正論5月号】【サヨナラ平成 その光と陰】堕ちた官僚と東大法学部 評論家 八幡和郎

※この記事は、月刊「正論5月号」から転載しました。ご購入はこちらへ。

 平成の30年間を通じて、霞ヶ関のキャリア官僚の質も役割も大幅に低下した。もちろん、すべて悪い方向にばかり向かっているのではなく、好ましい変化もないではないが、全体としては官僚の凋落は明白である。

 とくに、典型的なキャリア官僚である東京大学法学部卒のそれはとくに顕著だ。ここに象徴的な事実とデータがある。(1)平成になってから就任した首相16人のうち、東京大学法学部出身は平成3年から5年までの宮沢喜一ただひとりである(2)平成19年入試で東京大学文I(法学部)の最低点が文II(経済学部)を下回った。

 以下、このふたつの数字の意味を考えてみたい。

 キャリア官僚といっても、数からいえば技官のほうが多く、国土交通省の土木系技官などは最強集団のひとつだ。事務系でも東京大学卒の割合は全体の半分くらいだし、同じ東京大学でも経済学部や他学部出身の者も多い。

 しかし、人気官庁では東京大学法学部卒が事務系キャリアの半数以上を占めるし、事務次官や局長での割合は圧倒的である。そして、大正から昭和には、東京大学法学部から官僚となることが、首相など政界や財界の枢要ポストに上る王道であり、東京大学法学部は国家枢要の仕事をする自覚と技術を学ぶに最良の場所だった。

 そして、昭和の首相31人の学歴は、東京大学法学部13人、陸軍5人、海軍4人、早大2人、京大2人、一橋、慶応、明治がそれぞれ1人、そして大学教育を受けていないが2人だった。また、東京大学法学部出身に限定すると、官僚経験者が11人(外務4人、大蔵3人、商工、内務、鉄道、司法がそれぞれ1人)で弁護士が2人。このほか、京大と一橋大出身の大蔵官僚がいた。

東大出身の総理が消滅

 ところが、平成になってからの首相16人の学歴は、早稲田5人、慶応2人、神戸、上智、成城、明治、成蹊、学習院、東大法学部、東大工学部(鳩山由紀夫)、東工大が1人ずつだ。なんと、東京大学法学部はここ25年間、総理を出していない。

 2012年に誕生した第二次安倍内閣以降で、東京大学法学部出身の閣僚は10人いる。そのうち、官僚出身は原田義昭環境相、片山さつき地方創生相、宮沢洋一元経済産業相、中川雅治前環境相のみ。しかも、宮沢氏はむしろ世襲議員である。また、中川氏を除き管理職を少しかじった程度で退職しており、局長など重要ポストの経験はない。つまり、平成の日本では東京大学法学部から官僚としての重要ポストを経て閣僚などになる道は事実上、閉ざされているのである。いってみれば、官僚は取締役になる可能性が低いサラリーマンのようになってしまった。

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