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【ビジネス解読】中国が狙う「金融強国」、日本に危機

 昨年3月、上海先物取引所傘下の「上海国際エネルギー取引所」で始まった人民元建て原油先物取引は、原油の国際指標であるドル建てのWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)への挑戦。続く4月の中国預託証券の発行解禁は、ニューヨーク証券取引所に上場する電子商取引大手アリババなど、中国企業の米国取引所上場で逸していた投資マネーを奪い返す仕掛けだ。

 預託証券は、上場株式の預託を受けた金融機関が、これを裏付けに上場先以外の第三国で発行する証券。仮にアリババが中国本土の取引所に預託証券を上場すれば、中国当局の資本規制でアリババ株を自由に購入できなかった中国本土の投資家も、わざわざ米国に口座を開設することなく直接、人民元でアリババに投資できるようになる。

 市場では今年6月にもアリババや、検索エンジン大手の百度(バイドゥ、米ナスダック上場)が中国預託証券の発行で“里帰り”上場するとの見方があり、投資資金の流れが大きく動く可能性がある。

 中国預託証券の登場は、本土の上海、深●(=土へんに川)両取引所と香港取引所の競争につながるとの指摘もある。中国の金融市場改革には課題も多いが、香港の「結節点」戦略を考えると本土取引所の活性化が相乗効果を生むようにもみえる。

 ■日本は存在感低下?

 英金融コンサルティング会社のZ/Yenが分析している、金融業で中心的な役割を持つ都市や地域の国際競争力を示す「世界金融センター指数(GFCI)」では、英国のEU離脱に備え、大手金融機関の機能流出が相次いだロンドンが昨年、首位をニューヨークに譲り、2位に転落。3位の香港に3ポイントの僅差に迫られた。香港の積極的な機能強化策を踏まえると、香港がニューヨークに肉薄する局面は遠くないかもしれない。

 翻って日本は、傘下に東証を抱える日本取引所グループと東京商品取引所の統合による総合取引所の実現や、東証の市場構造改革の検討が進んでいる。構造改革は現在の1部、2部、新興市場の再編もテーマだ。

 だが、香港取引所が、ロンドン金融金属取引所の買収で国際的な総合取引所体制を整えたのは7年も前。国際水準では、実現しても「当たり前」に過ぎない。

 焦点は、日本株の魅力を高める大胆な市場構造改革の迅速な実行だろう。それができなければ存在感の低下は避けられそうにない。 (経済本部 池田昇)

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