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【ビジネス解読】中国が狙う「金融強国」、日本に危機

今後の経営戦略を説明する香港取引所の李小加最高経営責任者=2月28日、香港(ロイター)
今後の経営戦略を説明する香港取引所の李小加最高経営責任者=2月28日、香港(ロイター)
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 巨額の投資マネーを引き寄せる国際金融拠点として世界に冠たる力を誇る米国に中国が迫ってきた。英国の欧州連合(EU)離脱の動きがロンドン金融街に影を落とす一方、中国の習近平政権の政策も追い風に、香港が急速にマネーの吸引力を強めている。米中のはざまで、東京証券取引所を核とする日本は存在感を守れるのか、分岐点に来ている。

 ■NYと並ぶ金融センターに

 「中国と世界を結びつけ、アジアの取引時間帯で世界のリーダーを目指す」

 香港取引所の李小加最高経営責任者(CEO)は2月28日、2021年までの3カ年経営計画を発表。この中で中国本土との株式や債券の相互取引を一段と強化すると宣言した。

 上海や深●(=土へんに川)の取引所に上場する国有企業など、中国を代表する「A株」の先物商品を新たに提供し、海外投資家の中国株投資の利便性を高める一方、中国本土の投資家が、アジア企業の新規公開株や債券など香港取引所が扱う金融商品を円滑に売買できる仕組みを整備。高成長が続くアジア地域と巨大市場の中国、そして世界の投資家の3つを結ぶ「結節点」としての取引機能を拡充することで、ニューヨークに比肩する国際金融センターの地位を固めようという戦略だ。

 英調査会社のブランドファイナンスが2月にまとめた世界の取引所のブランド価値ランキングの最新(19年)版では、6年連続首位のシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループをはじめ、上位5つのうち4つを米国勢が占めた。その米国勢に割って入り、ニューヨーク証券取引所を抜いて前年の3位から2位となったのが香港取引所だ。

 ブランドファイナンスの調査は、ビットコイン先物などの金融商品開発や最新IT技術の導入などで、米国勢の資本市場への影響力が依然強いことを示す一方、18年の新規株式公開(IPO)調達額で世界首位となった香港の台頭を「米国の支配を崩す」脅威とも評価する。

 香港取引所は新経営計画に合わせて、ITと金融を融合する「フィンテック」企業の深●(=土へんに川)市融匯通金科技の買収を決定。ビットコイン取引に使われている「ブロックチェーン」と呼ばれる先端IT技術や人工知能(AI)の活用にも布石を打っており、フィンテックへの取り組みでも米国勢を追い上げる。

 ■大湾区構想が後押し

 さらに、香港には中国政府の強力な後押しもある。習近平政権が推進する「ビッグベイエリア(大湾区)構想」だ。

 構想は、先端企業が集積する深●(=土へんに川)市を含む広東省と金融都市の香港、カジノや観光で有名なマカオを一体化した経済圏を35年までに構築する長期計画。このエリアをシリコンバレーのような世界規模の技術革新拠点とし、先進的な製造業を育成する「製造強国」政策の一環だ。また、構想には、人民元の越境取引など域内の金融市場の改革開放が盛り込まれており、香港を先陣に米国に対抗する「金融強国」を目指す中国政府の狙いも透ける。

 実際、中国政府の昨年来の金融・資本市場政策には米国のドル覇権に挑もうとする動きが目につく。

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