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【朝鮮半島を読む】韓国軍事政権下の拷問捜査のルーツ

 作品には、5坪(約16平方メートル)の監獄に41人が収監されていたとある。横たわって眠るスペースもなかった。誰もが1人でも減ってほしいと願う中、笞刑の判決を受けて控訴した老人を、主人公をはじめ他の収監者が精神的に追い込み、控訴を取り下げさせる内容だった。

 「七十の坂越えた年寄りがむち打たれて無事なはずがない、わしはどうなろうと、あんたがたが…」

 老人が笞刑を受けるため、看守に刑場へ引かれていく際にもらした言葉だ。狭い監獄でたった1人分のスペースを確保するために老人にしたことを、主人公が悔悟するというものだ。

 個人的な感想だが、極限状態に置かれた人間の性(さが)を生々しく描写した金東仁の作品はおもしろいと思った。金東仁は朝鮮における本格的な短編小説の基盤を作った作家と評価され、代表作「カムジャ(じゃがいも)」は韓国で1980年代に映画化されている。

 一方で日本統治に協力した“親日派(チニルパ)”という売国奴の烙印(らくいん)を押されているせいか、知人の韓国人に聞いたところ、一般的に金東仁は知られておらず、作品もあまり読まれていないという。

 “親日”は韓国社会の至るところに現れ、時には文化をも封じ込めてしまう“呪文”のような力を持っている。(編集委員 水沼啓子)

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