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【田村秀男のお金は知っている】中国「6%成長目標」は真っ赤な嘘なのか 信憑性を検証

記者会見する李克強首相(中央)=15日、北京の人民大会堂(共同)
記者会見する李克強首相(中央)=15日、北京の人民大会堂(共同)
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 李克強首相が全国人民代表大会(全人代)の冒頭で、今年の国内総生産(GDP)の実質成長率目標を6%台前半と発表した。これは「真っ赤な嘘」ではないのか。論証を試みることにしよう。

 党がカネ(金融)とモノ(投資)を支配する中国式市場経済システムでは、正常な市場経済国家では需要と供給の関係で決まるはずのGDPの変動率を操作しやすい。インフラ、生産設備、不動産開発など固定資産投資は党中央が立てた計画通り、カネを発行し、配分できる。

 投資を前年に比べて二十数%増やすと、GDPはやすやすと二ケタ成長を遂げ、日本のGDPを抜いたのがリーマン・ショック後の2010年で、今や日本の3倍にもなりそうだ。が、膨れ上がったコンクリート構築物の多くは、金融面で見れば収益を生まない不良資産、すなわち収益見通しが立たないバブル資産と化す。

 そこで13年から国家統計局が発表している中国のセメント生産に着目してみた。セメント統計は各地の工場の報告に基づき、党地方官僚にはごまかす動機がほとんどないので、信憑(しんぴょう)性は高い。

 拾い出してみると、リーマン後のピーク時で年間二十数億トン、今でも年間20億トン前後のペースである。実に、米国が20世紀の100年間に生産したセメント量を2年間で投入し続けていることになる。コンクリートの巨大な塊は金融債務となって年々、累積していく。

 セメント生産をGDPの主要項目と付き合わせてみたのがグラフである。中国のGDP項目のうち固定資産投資が4割以上を占めると先述したが、その変動率はGDPの供給部門別の建設動向と連動する。建設はセメント生産を伴うのだから、やはりセメントの前年比増減率と共振するはずだ。

 ところが、セメントのトレンドは17年以降、GDPの建設部門とは逆、大きく下に振れている。セメントは生コンクリートの原料だが、生コンはすぐに固まってしまうので建設作業に即応せざるをえない。つまり建設需要とほとんど時間差がなく合致するのが生コンであり、セメント生産がトレンドからかい離するのは不自然だ。

 セメント生産データの信憑性は党官僚が鉛筆をなめるはずの建設や固定資産投資データよりもはるかに真実に近い。とすれば、固定資産投資データそのものが虚偽だということになる。すると、6・5%を超す17年以降のGDP成長率は嘘の固定資産投資の水増しによって、不当にかさ上げされている公算大である。

 李首相は全人代でインフラ投資と減税の財政面での景気てこ入れを約束したが、インフラという政府による固定資産投資の数値のアップを帳簿上だけにとどめる、という操作は大いにありうるだろう。他方で、債務バブル対策は進めざるをえない。地方政府には財政支出の一律5%削減を要請済みで、金融は量的引き締めだ。政策は支離滅裂、米中貿易交渉決裂ともなれば、債務バブルは崩壊、チャイナリスクの爆発となりかねない。(産経新聞特別記者・田村秀男)

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