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【酒呑み鉄子の世界鉄道旅】“ショパン”に乗って“ショパン”の面影を追う 朝焼けのなか国境を超える夜行列車“ショパン号”

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車窓から眺めた美しい朝焼け。もうすぐオーストリアの国境に差し掛かる
車窓から眺めた美しい朝焼け。もうすぐオーストリアの国境に差し掛かる

 【酒呑み鉄子の世界鉄道旅 国境を超えて音楽をつなぐ鉄道旅(3)】「シフミちゃん、起きて、起きてーっ! すごく綺麗!」 2段ベッドの上段。同室のMちゃんの弾むような声に飛び起きた。厚い雲に覆われた冬空が茜色に輝き、赤い光が身体をくるんだシーツを染めている。これこれ。夜の街の賑わいから、静寂に満ちた闇、ひと筋の光を迎えて、やがて訪れる朝へ。時空を移動したような不思議な感覚。これぞ夜行列車でしか味わえない楽しみ。車窓を楽しむためにMちゃんと相談して、”女子(って年齢でもないですが一応)部屋“にもかかわらず、ブラインドを開けておいた。

 茜色の空が白い光に溢れる朝に変わるころ、“ショパン号”は国境を越えた。(写真・文/トラベルジャーナリスト 江藤詩文、取材協力:ユーレイル

ワルシャワ中央駅に入線する“ショパン号”こと寝台特急「EuroNight(ユーロナイト)」IC407号
ワルシャワ中央駅に入線する“ショパン号”こと寝台特急「EuroNight(ユーロナイト)」IC407号

 前回ご報告したように、ワルシャワ近郊でゆっくり過ごしたのは、ワルシャワ発の寝台車に乗ることが目的のひとつだった。ワルシャワ中央駅を出発して、チェコを経由してオーストリアの首都ウィーンに到着する寝台特急「EuroNight(ユーロナイト)」IC407号には、「Chopin(ショパン)」の愛称が付けられている。ショパンは20歳のとき、故郷ワルシャワを出てウィーンへと音楽活動の拠点を移した。この路線は、まるでそんなショパンを追いかけるようなルートを走る。

 19時30分にワルシャワ中央駅を出て、ウィーンには翌朝7時に到着予定。しっかりと睡眠時間を確保できる理想的なスケジュールだ。

 

近代的なワルシャワ中央駅構内。“ショパン号”に食堂車はないが、テイクアウトできる軽食などは構内で買える
近代的なワルシャワ中央駅構内。“ショパン号”に食堂車はないが、テイクアウトできる軽食などは構内で買える

 客車は9両編成で、ベッド付きの寝台車両のほか、椅子席もある。寝台付きの客車は、私たちは1室を2名で利用したため2段ベッドだったが、最大で3段ベッドにすることもできる。

 人気の列車のようで、この夜はすべて満席。連結部に立ち乗りしている人もいた。私の客車は351号車。各ベッドには清潔なシーツとブランケット、枕がセッティングされていた。枕元に置かれたアメニティバッグの中身はシャワージェルとタオル。寝台車両は各部屋に、閉じればテーブルとして使える開閉式の洗面台、ハンガーつきクローゼット、ジュースやミネラルウォーター、スナックなどがセットされたキャビネットがある。枕元には電源も。ラグジュアリーホテル並みとはいかないが、ビジネスホテル程度には快適だ。

私が乗った客室。ベッドは狭いながらも寝心地は悪くなく、列車の揺れもあって熟睡
私が乗った客室。ベッドは狭いながらも寝心地は悪くなく、列車の揺れもあって熟睡

各車両には、それぞれ1ヵ所ずつ共有のシャワーが付いている。お風呂が大好きな私はさっそく見に行ったが、バス・トイレのようなユニット式でシャワーブースは当然ながら狭い。髪の長い女性が、ここでシャンプーまでするのは難しいかもしれない。私は、ワルシャワのホテルをレイトチェックアウトして、出発直前にシャワーを浴びた。これで後は眠るだけ。シャワー問題はかなり個人差があるが、私のように1日たりともお風呂を欠かしたくないタイプには、この方法がおすすめだ。

客室に備え付けられた開閉式の洗面台とキャビネット
客室に備え付けられた開閉式の洗面台とキャビネット

 早めの夕食もシャワーも済ませ、あとはたっぷり眠るだけ。……なんだけど、まるで修学旅行のようなこのシチュエーション。仕事とはいえ、同室者が同世代で気の合うMちゃんだったこともあって、あとはご想像の通りです。

 車内に食堂車はないが、温かいコーヒーまたは紅茶の無料サービスがある。部屋にはジュースやお菓子もある。

 さらに場を盛り上げたのが、ワルシャワ生まれのチョコレート。前回もお話したように、とにかくロマンチックが大好きなワルシャワっ子の間では、男性から女性に美しいボンボンショコラと花束を贈るのが定番だそうで、私もショコラをいただいてしまった。

 パジャマにすっぴんで枕を抱え、おやつをつまみながらネバーエンドなガールズトーク。明け方に2度寝してウィーン到着5分前に起こされたのは、ここだけのお話です。

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