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「零戦」エンジンの希少な取扱説明書を完全復刻 性能めぐる議論決着の糸口に

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 【いまも飛ぶ大戦機】 直列、水平対向、V型といった表現は、自動車のエンジンでよく耳にする。これはピストンとシリンダーの並び方、すなわち気筒配列を表す用語なのだが、第二次大戦中の航空機エンジンでは「星型」が主流だった。前方から見た各気筒の並び方が、文字どおり「星」を形成するエンジン型式である。(藤森篤)

現在も飛行可能な零戦五二型が搭載する栄三一甲型発動機。前方から見ると放射状に配置した各気筒が、「星」のようにも見えるのが理解できる(Photo:Atsushi“Fred”Fujimori)
現在も飛行可能な零戦五二型が搭載する栄三一甲型発動機。前方から見ると放射状に配置した各気筒が、「星」のようにも見えるのが理解できる(Photo:Atsushi“Fred”Fujimori)

 大馬力化、つまり排気量の増大をはかるには、気筒数を増加すればよいと考えられた結果、必然的に星型エンジンが考案された。その型式は当時の最先端技術であり、放射状に並んだ多数のピストンがそれぞれ干渉せずに一本のクランクシャフトを回転させる独特の構造は、機械的知識をお持ちの方でも容易に理解することが困難なほど複雑だ。

マスターコンロッド(一番下)に接続された6本のリンクロッドが、星型エンジンの肝。中央の穴を貫通するクランクシャフトに対して、各気筒が放射状に配置されているのがわかる(Photo:Atsushi“Fred”Fujimori)
マスターコンロッド(一番下)に接続された6本のリンクロッドが、星型エンジンの肝。中央の穴を貫通するクランクシャフトに対して、各気筒が放射状に配置されているのがわかる(Photo:Atsushi“Fred”Fujimori)

 「零戦」と「隼」が搭載したのも星型エンジンであり、中島飛行機製の空冷星型複列14気筒エンジンであった。海軍ではそれを「栄発動機」、陸軍では「ハ25 / ハ105 / ハ115」と呼称した。

80年前の日本の技術を垣間見る資料

 そのエンジンの取扱説明書が現存する。昭和18年3月に編纂された『栄発動機二〇型取扱説明書』はおそらく、専門家でも目にしたことがないほど希少なものだ。そして、その取扱説明書が今年、完全復刻され発売される。

『栄発動機二〇型取扱説明書』の原本((C)Ei Publishing)
『栄発動機二〇型取扱説明書』の原本((C)Ei Publishing)

 敗戦国である日本には、第二次大戦時の兵器、その設計図などがほとんど残っておらず、それは栄発動機においても同様である。しかし、32枚の構造解説図を含む、総頁372ページにおよぶこの取扱説明書では、中島が曳いた栄発動機の断面図、オイルラインの系統図などが多色刷りで描かれている。

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