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【国際情勢分析】米のインド太平洋戦略 重点国にまず経済支援

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米ワシントンのホワイトハウスでトランプ大統領(右)と話すポンペオ国務長官=2月7日(ロイター)
米ワシントンのホワイトハウスでトランプ大統領(右)と話すポンペオ国務長官=2月7日(ロイター)

 トランプ米政権が掲げるインド太平洋戦略は、経済、軍事の両面で覇権を拡大する中国を牽制(けんせい)する意味で注目を集めるが、実現にはいくつもの課題がある。ポンペオ米国務長官のスピーチを読み解くと、その一端を垣間見ることができる。(外信部 坂本一之)

 ポンペオ氏は、ワシントンで米商工会議所が昨年7月に開催した「インド太平洋ビジネスフォーラム」に登場した。外交政策を取り仕切るポンペオ氏だが、米国のビジネスリーダーらを前にインド太平洋“経済”構想を説明したのだ。

 ポンペオ氏は講演で、米国によるインド太平洋地域への経済的アプローチが、平和や繁栄において重要であることを指摘し、トランプ氏が「自由で開かれたインド太平洋」に関するビジョンの概要を最初に打ち出した場所がベトナムであることを強調した。アジアに寄り添う考えを訴えるだけでなく、「ベトナムを重視している姿勢をにじませている」(日米外交筋)。

 講演では、先の大戦後に米国が日本と同盟関係を築き、好景気を後押ししたことや、韓国の経済繁栄を支援してきたことをアピール。その上で、米国企業がフィリピンやマレーシア、タイで事業投資を行い、各国の経済発展に貢献するパートナーであることを丁寧に説明した。

 米国の支援機関がネパールで送電システム整備を支えていることや、モンゴルに対する新たな給水システムの支援が決まったことも誇らしげに語った。

 ポンペオ氏は、同盟国である日本や韓国の経済成長を好例とし、数あるインド太平洋地域の中から自国と協力関係が進んでいる具体的な民間投資や支援を交えながら、それらの国名を紹介した形だ。日米安全保障の専門家は、ポンペオ氏が紹介した国に関し、「中国の影響力がさほど強くなく、米国にとっては重点国になる」と指摘する。

 一方、東南アジア諸国連合(ASEAN)の中で米国を主要貿易相手国としないミャンマーやラオスは、政権も中国寄りとされる。インド太平洋地域は東西に長く、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」による経済支援の恩恵を受ける国も多い。米国が友好関係を広げようとしても、空白が生じるのが実情だ。

 こうしたことから、経済発展の伸びしろが大きいベトナムやフィリピン、モンゴルなどへの民間投資や経済支援を優先的に進め、米国との友好関係を確実に広げていきたいとの思惑がみえる。経済交流の拡大を通して安全保障面での連携も強化する手法は、トランプ氏が離脱を決めた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)と同じだ。

 ASEANには米中によるアジアでの覇権争いに巻き込まれたくないとの意識が強く、全方位外交を展開するインドには米国との関係緊密化への警戒感もある。米国の協調姿勢がどこまで浸透するかは楽観視できない。米国のインド太平洋戦略への本気度によって、同地域の秩序は大きく左右される。

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