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【プロジェクト最前線】子会社がやっていいのか… 逆境が生んだ「日本橋高島屋S.C.」 矛盾に挑戦

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 念頭にあったのはパリのパッサージュ。屋根があって商店が両脇に並ぶ通りを人々が通り抜け、時折買い物も楽しむ。箱モノに客を呼び込もうと力むのではない。街の一部に溶け込み、そこを通過してもらうことで入店を待つのだ。

 折しも近隣にオフィスビルが立ち並ぶほかタワーマンションも林立し、確実に商圏人口は増加していた。チームは路上観察を続けて人の流れ、つまり街の動態をつかんでいった。

 この結果、通勤客らが毎日立ち寄れるよう、平日午前7時半開店のカフェなど13店舗を低層階に配置することにした。地下鉄日本橋駅改札からは、新館を通り抜ければ地上に出られる構造を利用して立ち寄りやすくしたわけだ。

 課題の中層階は、周辺住民ら向けのヨガスタジオなどコト消費の拠点を置くことで、普段使いを促す仕掛けを盛り込んだ。

 いずれもショッピングへの導線となることを狙っている。清瀬氏は「新館が街に染み出し、地元で働く人や住民が立ち寄る場に仕上げた」と地域密着型のコンセプトを語る。

 ■真価問われる試み

 百貨店業界は長期低迷が続き、苦戦する地方店では一部で閉鎖も相次ぐ。富裕層や訪日外国人客の需要頼みという面も指摘され、決して安泰ではない。

 こうした中で本館を含め、全体をSCと呼ぶ大胆な若返りに踏み切った高島屋。足元は新館効果で本館への来店が急増し、来店客数が開館以降は1日平均4.6万人へ激増している。

 だが、その“新館特需”が消失した後にこそ真価が問われる。高島屋の新たな挑戦はどんな実を結ぶのか。その成否は、百貨店の将来を占う試金石にもなりそうだ。(経済本部 柳原一哉)

               ◇

 日本橋高島屋S.C. 新館はその最大の目玉で、飲食分野を手厚くした115の専門店が入居する。これに加え、百貨店である本館、時計を扱う「ウオッチメゾン」、そしてキャラクターショップが入る東館-の計4館体制により従来の百貨店にない魅力を生み出す。館ごとに想定顧客や取扱商品をがらりと変え、「相互の買い回りを促すことで親子3世代にわたって楽しめる施設」を狙いとしている。

 今回、SC開発のプロジェクトの担い手となった東神開発は、日本初の本格的な郊外型SC「玉川高島屋S・C」を手掛けた実績を持つ。玉川は半世紀前の昭和44年に開業し、今や最も洗練されたSCとして認知される。SC開発のノウハウはシンガポールなど海外でも発揮されている。

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