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【櫻井よしこ 美しき勁き国へ】靖国めぐる「魂の交流」

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終戦の日の靖国神社=2018年8月15日、東京・九段北(酒巻俊介撮影)
終戦の日の靖国神社=2018年8月15日、東京・九段北(酒巻俊介撮影)

 平成29年2月、安倍晋三首相はトランプ米大統領との首脳会談に先立ち、ワシントン郊外のアーリントン国立墓地の「無名戦士の墓」、大東亜戦争で戦没したすべての米軍将兵を象徴する墓地で献花した。

 4軍の儀仗(ぎじょう)兵が迎え、軍楽隊が日本国歌「君が代」を、次に米国歌「星条旗」を演奏した。しばし頭(こうべ)をたれ、「とこしえの哀悼」をささげる首相を米国は最高の栄誉で迎えた。映像は、日米両国の真摯(しんし)な和解の精神を厳粛に表現している。

 同年8月、河野太郎外相と小野寺五典防衛相(当時)も同墓地で祈りをささげた。

 アーリントンで米軍戦没者に献花するのは旧民主党の政治家も同様だ。菅直人氏は首相になる前の22年4月に副総理兼財務相として献花した。副総理または財務相の献花は「極めて異例」で、「ポスト鳩山への布石」との見方を「共同通信」が伝えた。

 23年1月には前原誠司外相(同)が献花。24年4月、野田佳彦首相(同)は無名戦士の墓に加えて、イラク、アフガニスタンでの戦死者の墓、「第60区画」でも献花した。

 緊密な日米関係を反映して、今上陛下のアーリントン墓地ご訪問は複数回にわたる。皇太子時代に2度、天皇陛下としては6年6月に献花なさった。

 この間、日本の戦死者の霊を祀(まつ)る靖国神社には、日本の要人は足を運んでいない。寂寥(せきりょう)感は拭い切れない。だが天皇御親拝がないのは陛下のお気持ちとはおよそ無関係だ。厳密にいえば、天皇の日々の行動の中に私的な行動はないと考えるべきだとの指摘(高森明勅『靖國問題』、青林堂)どおりであろうから。

 靖国神社をめぐる政治的現実は厳しいが、それでも明るい側面もある。靖国に眠る英霊の家族と、かつての敵の米国軍人およびその家族との間に、「魂の交流」とでも言うべき関係が築かれている。

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