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「女優にしたくはなかった」俳優、奥田瑛二 娘たちへの思いを語る

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「子供との関係を見つめ直すことができる映画だ」と話す奥田瑛二(酒巻俊介撮影)
「子供との関係を見つめ直すことができる映画だ」と話す奥田瑛二(酒巻俊介撮影)

 俳優の奥田瑛二(えいじ)(68)が、ふたりの娘に対する思いを語った。家族の絆がテーマの映画「洗骨」(2月9日公開)に主演し、「子供とどう向き合うか考え直す契機となった」からだ。映画監督の道へ進んだ長女、安藤桃子(36)、女優を選んだ次女、安藤サクラ(32)をどう育てたのか。

自分の接し方を問われた

 映画は、沖縄の一部に残る独特の埋葬方法を通し、父と息子、娘の絆とは何かを描く。奥田は妻をなくして生きる気力を失い、酒浸りの日々を送る主人公、新城信綱を演じる。演じながら「これは、僕自身の生き方や子供との接し方が問われる作品だ」と考えさせられた。

 「娘たちは、僕の思惑通りの道(映画監督)に進んだり、癖球(女優)を返してきたり」

 奥田の基本的な教育方針は、「自然と触れ合ったり、動物に親しんだりというシンプルなもの」だった。「野山で遊んだ田舎育ちの僕の基本方針です」

 劇場で自身の芝居を見せたりもした。学校の勉強は、すべて妻である女優の安藤和津(70)に任せた。

長女の場合

 奥田自身は、ふたりを映画監督にしたかった。

 「人間とは何かをとことん学ぶことができる。役者もそうだけど、こんなに面白い仕事はないからね」。だから、映画監督に進むような「確信犯的な育て方をした」と白状する。

 「自然に親しめば、地球とは何かと考えるようになる。おのずとそこで暮らす人間とはどんな存在かも意識するでしょう。人間とは何かを突き詰めるのが映画監督に必要な資質。あちこちに布石を打ったつもりです」

 ただ、娘たちには「小学校高学年になったら、将来何になりたいかを決めなさい」と言い続けた。あくまで自分で決めなさいと。

 長女は、小学生で映画監督になることを選択肢の一つとし、奥田の望み通りの道に進んだ。

次女の場合

 次女のサクラは、5歳で奥田の舞台を和津と鑑賞した。

 「次女は演技する僕を指さして『あれになる』と妻に言ったそうです。妻は感激しましたが、僕はこれはやばいぞと思いました。女優になられたら、ちょっと困る」

 奥田は、娘を女優にしたくなかった。「女優という職業は、“奇跡の風”でも吹かない限り絶対に成功しない。それくらい大変な職業。僕には何も手助けができない」

 女優にだけはなってくれるな。奥田は念じ続けた。また、サクラの前で将来の話をすることは避けた。だが、高校3年生になったサクラから、「お父さん、お話があります」。正座で向き合うと、次女は単刀直入に「女優になりたいです」と伝えてきた。

 やはり、きたか。「いずれ言われるだろう」と覚悟はできていた奥田は、「俺は一切お前の面倒は見ないし、手助けもしないし、便宜も図らない。それでもよければ自分の力でやってみろ」と答えた。

七光と言われても

 奥田には、「どんなに頑張っても、何をしても、親の七光といわれるに決まっている」という懸念があった。

 だが、サクラは自力で飛躍を遂げた。出演作「万引き家族」(是枝裕和監督)が昨年、カンヌ国際映画祭コンペ部門で最高賞「パルムドール」に輝き、審査委員長のケイト・ブランシェットに演技を絶賛されたのは記憶に新しい。

 ただ、「役者の家族は切ないものなんですよ」としみじみ語る。家族である以前に役者同士。どうしても距離ができてしまうからだという。「ただ、娘2人に孫ができたら、孫は、もう、ただ、かわいくて、かわいくて…」と相好を崩した。(文化部 高橋天地)

 「洗骨」 「洗骨」の風習が残る沖縄の離島・粟国島(あぐにじま)。信綱(奥田瑛二)は妻の死が受け入れられず、酒浸りの日々を送っていた。洗骨とは、土葬や風葬を実施して数年後に死者の骨を海水や酒で洗い、再び埋葬する風習だ。洗骨の日を前に、長男、剛(筒井道隆)と長女、優子(水崎綾女)が帰省する。それぞれに事情を抱え、親子、兄妹の間には深い溝が生じていた…。お笑い芸人のガレッジセール・ゴリこと照屋年之(てるや・としゆき)が監督と脚本を務めた。

 奥田瑛二(おくだ・えいじ) 昭和25年3月18日、愛知県生まれ。俳優、映画監督。主な映画主演作は「海と毒薬」(61年)、「千利休 本覺坊遺文」(平成元年、ベネチア映画祭銀獅子賞、日本アカデミー賞主演男優賞)など。近作は「散り椿」(30年)など。監督を務めた「長い散歩」(18年)はモントリオール世界映画祭でグランプリに輝いた。

 安藤桃子(あんどう・ももこ) 昭和57年3月19日、東京都生まれ。米ニューヨーク大で映画作りを学ぶ。「カケラ」(平成22年)で監督デビュー。監督と脚本を務めた「0.5ミリ」(26年、妹の安藤サクラ主演)は、報知映画賞作品賞や毎日映画コンクール賞脚本賞などに輝いた。

 安藤サクラ(あんどう・さくら) 昭和61年2月18日、東京都生まれ。女優。主な映画出演作は「百円の恋」(26年、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞)など。リリー・フランキーとダブル主演の「万引き家族」(30年)はカンヌ国際映画祭で最高賞。放送中のNHK連続テレビ小説「まんぷく」でヒロイン。

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