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【熊木徹夫の人生相談】40代ベテランなのにステップアップできない

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イラスト・千葉真
イラスト・千葉真

相談

 新卒から同じ会社で働く40代の女性です。

 昔から将来の目指すビジョンなどもなく、漫然と働いてきた結果、20年以上勤めたのに、任せられる仕事は入社当初とさほど変わらず、何も成長できていない気がして落ち込むことがあります。

 経験年数に照らせば、若い子と同じようではいけない、と思うのですが、気力が落ちた分、若い頃のほうがテキパキ仕事ができていたかもしれないとも思います。といって、心機一転、新天地を求めるスキルも気力もありません。目指す姿を心に描き、スキルを積み上げてきた人がまぶしく見えます。

 巻き返したいけれど、気力もわかないダメな私は、この先どうあるべきでしょうか。(東京都、会社員)

回答

 あなたは、ご自分が「何も成長できていない」、さらには「心機一転、新天地を求めるスキルも気力もない」と言う。では、成長とは何か、スキルとは何か、改めて考えてみましょう。

 その昔、社会における成長モデルは非常に分かりやすいものでした。太平洋戦争後、焼け野原となった日本は、当時の国民の超人的な頑張りによって、奇跡的に復興したとされる。その際、復興の軸となったのが会社であり、それらは大家族主義・終身雇用が前提となってきた。そのため、各社員は全身全霊を込め会社の求めに応じてきた。そして「会社での出世」イコール「人生の成功(および、その人の成長)」とされてきた。あなたのいう成長とは、このことではないでしょうか。

 しかし、時代はかなり変わってきています。成長モデルといっても、以前のように皆で素朴に共有されるものではない。“隣のアイツは随分先へ行って、もう追い越せない”というなら、その人と競争などせず、全く違うルートを開拓し、そこで地道に研鑽(けんさん)を積んでいけばいいのです。

 新天地に行くなら、そこで求められるスキルをあらかじめ想定し、それに自分を沿わせるべきではない。むしろ、自分の興味を掘り下げ作り上げてきたスキルが、うまく嵌(は)まる場所を見つけることに尽力するのです。目指すビジョンがないのは、悪いことばかりではない。ビジョンを打ち出すことは、時として桎梏(しっこく)になるのです。

 翻ってビジョンに縛られない融通無碍(むげ)なあなたは、これから先の道行きがどうなろうとも変わっていけるしなやかさを備えているはず。

 最後はみだりに悲観せず、そのような自身の可能性を信じられるか。あなたの今後は、その一点にかかっています。

回答者

 熊木徹夫 精神科医。49歳。「あいち熊木クリニック」院長。著書に「自己愛危機サバイバル」「ギャンブル依存症サバイバル」「精神科医になる」など。

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 住所、氏名、年齢、職業、電話番号を明記のうえ、相談内容を詳しく書いて、〒100-8078 産経新聞文化部「人生相談 あすへのヒント」係まで。

 〈メール〉life@sankei.co.jp

 〈FAX〉03・3270・2424

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