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【痛みを知る】姿勢異常とストレスが招く肩こり頭痛 森本昌宏

 いろんな頭痛のなかで最も多くみられるのが、今回のテーマとなる「緊張型頭痛」である。以前は、「筋収縮性頭痛」「ストレス性頭痛」「心因性頭痛」などとも呼ばれていたので、「あぁ、あれか」と膝を打つ方も少なくはないだろう。生涯有病率(一生のうちでこの頭痛を感じる割合)は30~78%であり、わが国では約3千万人がこの頭痛に悩まされている。女性に多くみられるが、30歳以前に発症し、40歳代でピークとなる。

頭が大きく首細い人要注意

 主な症状は、頭部の圧迫感、しめつけ感であり、悪戯をした孫悟空がお釈迦様に頭の金輪をしめつけられている状態でもあろうか。これらが数十分~数日、さらには慢性的に続く(その期間によって稀発(きはつ)性と慢性に分類されている)。別名「肩こり頭痛」とも呼ばれるように、首の痛みや肩こりを伴うことが多い。なお、片頭痛の特徴である光や音に対する過敏(場合により吐き気)を呈していることがあり、診断に苦慮する。

 原因はさまざまだが、姿勢の異常や首の骨の変形、ストレスによるものが多い。約5キロの重さを有する頭を支えている首への負担が、この頭痛を作り出すことの要因となっているのだ。したがって、頭が大きくて首が細い方は特に注意が必要だ。

 パソコンに向かうなど、俯(うつむ)く姿勢を続けていると首の後方を支えている筋肉が収縮して、筋肉の血流が低下し、乳酸、ピルビン酸などの発痛物質が分泌される。この発痛物質が後頭部の筋肉付着部の痛み、肩こりなどを引き起こして、やがてはその筋肉の緊張が眼球の後方や側頭部に飛び火して、頭全体へと広がるのだ。

320万年前から続く痛み?

 エチオピアで発見された約320万年前のアファール猿人の化石が、この頭痛の歴史の長さを物語っている。発掘中に、ちょうどビートルズの「LUCY IN THE SKY WITH DIAMONDS」が流れていたことから“ルーシー”と名付けられたが、その背骨を見ると、無理な直立歩行のために生じたと考えられる変形があり、原始人も緊張型頭痛に悩まされていたと推測される。つまり、緊張型頭痛は直立歩行をする人類の宿命ともいえる。

 治療は、抗うつ薬のアミトリプチリン(トリプタノール)、抗不安薬のなかで最も筋弛緩(しかん)作用の強いエチゾラム(デパス)を第一選択薬として用いる。葛根や芍薬(しゃくやく)を含む“葛根湯(かっこんとう)”“芍薬甘草湯(かんぞうとう)”などの漢方薬の併用も奏効する。多くの場合、こめかみや首に押さえると響きを感じるポイントが存在することから、私は、このポイントヘの局所注射(トリガーポイント注射)を行い、症状緩和に努めている。その他、ペインクリニックでは、星状神経節ブロック、後頭神経ブロックなども併用している。

ゆっくりと入浴

 この頭痛を軽くするためには、まず姿勢を良くすること、ストレスを貯(た)め込まないことが何よりも大切である。また、首の後方を温めると筋肉の血流が改善される(発痛物質が洗い流される)ので、ゆっくりと入浴することもひとつの手ではある。

【プロフィル】森本昌宏(もりもと・まさひろ) 大阪なんばクリニック本部長。平成元年、大阪医科大学大学院修了。同大講師などを経て、22年から近畿大学医学部麻酔科教授。31年4月から現職。医学博士。日本ペインクリニック学会名誉会員。

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