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【経済インサイド】高くついた妊婦加算凍結 社会保障改革で医師会に大きな借りか

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 調整の過程では、医療機関に支払われる加算は維持した上で、妊婦の窓口負担分(約10億円)を公費で穴埋めして無償化する案も検討されたが、制度設計に時間がかかることなどから見送られた。来年に参院選や統一地方選という大型選挙を控え、事態が長引けば選挙に悪影響を及ぼすのは必至で、多少強引でも年内に幕引きする必要があった。

 ただ、永田町や霞が関の世界では、利害関係者の間で何か借りができたら、相手にそれ相応のお返しをするのが常識だ。政府・与党としては「首相」という最高の切り札を使ったことで、日医などに“首相案件”にふさわしい高い代償を払わなければならなくなったともいえる。

 ■参院選後に影

 かつて鳩山由紀夫政権時代、廃止されていた生活保護の母子加算をめぐり、深夜の首相公邸に当時の長妻昭厚労相と山井和則厚労政務官が約60億円の全額復活を鳩山首相に直談判したケースの再現とも映る今回の展開に、自民党内からは「なぜ、たかが10億円くらいの話に首相を使ったんだ」(幹部)と批判の声も上がっている。

 31年度予算案では、高い資金力と集票力を持つ日医に配慮し、地域医療・介護の態勢強化で設けられている「地域医療介護総合確保基金」の200億円積み増し、医療機関のIT化推進のための基金300億円の創設を盛り込んだ。地域医療介護総合確保基金は横倉会長のイニシアチブで導入された経緯もあり、業界関係者の間では「横倉基金」とも呼ばれているが、日医幹部は「そちらを増やされても、妊婦加算凍結の件は別の話だ」と強調する。

 夏の参院選が終われば、負担増を含む社会保障制度改革の議論が本格化する見通しだ。日医など業界団体の権益への切り込みも避けられない情勢だが、今回の妊婦加算凍結で生じた“貸し”を日医側から「ここで返してほしい」と要求される可能性もある。社会保障制度改革をめぐり、妊婦加算の凍結が「たかが10億、されど10億」になるのか。(経済本部 桑原雄尚)

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