PR

ニュース プレミアム

【月刊正論1月号】北方領土の行方 「四島」以外に何がある ソ連の国家犯罪を認めるな! 産経新聞論説顧問 齋藤勉

Messenger
安倍晋三首相(左)とロシアのプーチン大統領(右)=9月12日、ロシア・ウラジオストク(古厩正樹撮影)
安倍晋三首相(左)とロシアのプーチン大統領(右)=9月12日、ロシア・ウラジオストク(古厩正樹撮影)

※この記事は、月刊「正論1月号」から転載しました。ご購入はこちらへ。

 「ネオ・スターリニズム(新スターリン主義)がやってくる!」

 ソ連の反体制物理学者でノーベル平和賞受賞者、A・サハロフ博士のE・ボンネル夫人は、プーチン大統領が登場した時、こう喝破した。果たして、その予言は的中した。プーチン治世下のこの十八年間、ロシアはさながら「マルクス・レーニン主義イデオロギーなきミニ・ソ連」と化した。

 クレムリンは元KGBと軍、治安機関の巣窟となり、厳しい言論統制の蔭で政権に楯突くジャーナリストや元情報要員、政治家の国内外での相次ぐ抹殺、知識人の逼塞、軍事力の増強が目立っている。民主化を期待されながら酒浸りで国をカオス(混沌)に貶めたエリツィン元大統領に取って代わった元KGBスパイのプーチン氏には一時、原油価格高騰という追い風も加勢し、ロシアは「大国主義」「排外的愛国主義(ショービニズム)」の衣を纏った外交的傲慢さをあらわにし続けている。

 北方領土問題はこうした脈絡の中で捉えねばならない。プーチン政権下の北方領土対応は、煎じ詰めれば謀略と嘲りの連続だった。いわばKGB的やり口だ。究極の愚弄が、今年九月十二日、ウラジオストクでの東方経済フォーラムで大統領自身が安倍首相に語った「一切の前提条件抜きで年内に平和条約を結ぼう」との事実上の「領土棚上げ」発言ではないか。

 北方領土問題は領土「紛争」ではない。独裁者スターリンによる国家犯罪である。スターリンの指令を受けたソ連軍が終戦直前、日ソ中立条約を一方的に破り、ポツダム宣言受諾後の武装解除した当時の満州や朝鮮半島、樺太(サハリン)などに侵攻、火事場泥棒的に一度も他国の領土になったことのない四島を強奪した戦後最初の国家主権・国益侵犯事件なのだ。

 国家犯罪である以上、四島返還という原状復帰を真っ向から要求するのが歴史的正義を貫く筋というものだ。北朝鮮による拉致事件で被害者全員の奪回を迫るのと全く同じである。バナナの叩き売り的な二島、三島、等分論などは、正義の主張から自ら降りてしまう文字通りの論外なのである。

 安倍政権がいま推し進めようとしている「共同経済活動」は、四島の返還を真っ向から要求しても最早望みはない、とみなした経産官僚による窮余の奇策であろう。しかし、遅々として一向に進展しない交渉を見ると、共同経済活動自体が大きな障害、重荷になってきたような気がする。

続きを読む

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ