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【高論卓説】中国の新エネ車規制、来月発動 カギは車載電池調達 永井隆氏

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「広州国際モーターショー」でホンダが公開したスポーツタイプのEVの新型車=11月16日、中国・広州(共同)
「広州国際モーターショー」でホンダが公開したスポーツタイプのEVの新型車=11月16日、中国・広州(共同)

 中国政府が自動車メーカーに対し、来年1月からスタートさせるNEV(新エネルギー車)規制。これは、中国での生産台数の10%以上を電気自動車(EV)や50キロ以上EV走行できるプラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)の新エネ車にするよう義務付ける環境規制だ。

 強制比率は2020年には12%に引き上げられるが、未達の場合は基準を超えている他社からクレジットを購入しなければならない。米カリフォルニア州のZEV(ゼロエミッション車)規制をモデルに制度設計され、両規制とも日本メーカーが得意とするHVは含まれてはいない。

 中国の自動車市場は世界最大で、17年は2735万台(前年比1・8%増)の規模。NEVの中心はEVだが、今年1~9月でのEV販売台数は32・6万台(96%増)。BYDや北京汽車、吉林汽車など中国メーカーの独壇場だった。

 一方、ユーザーへの規制として、北京や上海、広州などの7大都市では、ナンバープレートの交付規制が実施されている。初めて車を買う人は、EVでなければ実質的に購入できない。しかも、交付規制は13都市以上へと広がるため、EV需要は間違いなく拡大していく。

 外資で先陣を切りEVの現地生産に踏み切ったのは、カルロス・ゴーン前会長の逮捕と完成検査の相次ぐ不正で揺らぐ日産自動車だった。しかし、日産の1~10月のEV販売台数は約2万台で、内訳はタクシー向けなど小型商用車ばかりだった。

 実は日産には苦い経験がある。14年9月、リーフをベースに現地生産したEV「e30」を発売した。ところが、当初は支給されていた購入時の補助金が、突然打ち切られてしまったのだ。理由は、搭載した日本製電池が当局から認められなくなったため。品質や性能ではなく、認可リストから消えたのだった。「定価で約467万円もするe30は、まったく売れなくなった」(中国の日産幹部)。このせいなのか、日産は昨年、NECと共同出資した電池製造会社の売却を決断。EVの心臓部である電池事業を手放してしまっている。

 満を持して9月、中国製電池を搭載したEV「シルフィー ゼロ・エミッション(ZE)」を日産は中国で発売。広州市での店頭価格は補助金(6万800元)を差し引いて約17万元(276万円)。「つくれば売れる」はずだが、19年の生産計画は2万3000台と控えめ。電池の調達先を日産は明かしていないが、世界最大の車載電池メーカーCATL(福建省)とみられる。NEV規制が発動を直前に控え、外資はみな電池を現地調達せざるを得ない構図だ。EVの生産計画は、電池メーカーの生産計画に依存していく。

 さらに、「中国政府は電池の規格統一に動こうとしている」(自動車メーカー)という。現在、ラミネート型、角型、円筒形と大きく3つに分かれるが、形状を統一してリサイクルやリユースの環境特性を高めようとする狙いがあるようだ。

 新エネ車は中国の産業振興策「中国製造2025」の重点分野である。日米欧韓の自動車各社は、中国でのEV事業をどう展開していくのか。ロビー活動を含めて、経営手腕は試される。

  ◇

 ながい・たかし ジャーナリスト。明大卒。東京タイムズ記者を経て1992年からフリー。著書は『EVウォーズ』『アサヒビール 30年目の逆襲』『サントリー対キリン』など多数。 

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