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サンゴ礁を救おう、静岡大の挑戦(下)本格化する再生プロジェクト

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水槽実験中のサンゴの様子
水槽実験中のサンゴの様子

 静岡大学の研究チームが世界で初めて特定した「サンゴの白化現象メカニズム」。これまで致命的な“病”とされてきた白化は、実は高い海水温から身を守るための防衛戦略だった。研究チームは今後、危機に直面する“海の熱帯林”サンゴ礁を再生させるプロジェクトを本格化させる。(勅使川原豊)

 これまでの研究で、サンゴは生き残るため、2つの大きな能力を持っていることも判明した。

 ひとつは栄養(エサ)を得るため、ダメージ(縮小や透明な形態)を受けた植物プラントンの褐虫藻(かっちゅうそう)を消化して、栄養を補給していること。もうひとつは、高温条件などで増える活性酸素を発生させないように、褐虫藻の光毒性を持つ色素(クロロフィルa)を、光毒性を持たない色素(シクロエノール)にすることだ。

 「高水温などのストレスにより、白化が避けられないとき、サンゴは生き残るため、褐虫藻をエサとして消化すること、海水から小さいプランクトンを通常よりたくさん食べること、さらには活性酸素の発生を減少させる防御システムや強い紫外線から身を守るために蛍光タンパク質を発現するなど、さまざまな方法で生き残るために適応する戦略があることが分かりつつある。つまりサンゴは免疫システムを持つということ。ただし、誤解のないようにいえば、サンゴ自身が免疫システムも持つというのではなく、『ホロビオント(Holobiont)』と、世界でいわれているサンゴの複合共生システム、すなわちサンゴ・褐虫藻・バクテリア・ウイルス・古細菌・カビなどが相互に生命維持の防御システムを働かしているというのが事実です。われわれの研究でも初めて具体的なホロビオントの実態を明らかにする証拠を得られた。国際的に重要な成果です」(カサレト教授)

 「白化現象に関連して、もう1つ需要なことは、バクテリアの影響です。主に赤土などに含まれる陸起源のバクテリアは、病原菌としてサンゴの白化を促進します。高水温にはバクテリアの影響は、非常に大きいものです。ただし、サンゴの体内には悪いバクテリアの増殖を阻止するバクテリアや抗菌物質もあることが研究で分かりました。サンゴは黙って死を待つような生物ではないことが、ますます明らかになりました」(鈴木教授)

 人間は風邪をひくと、熱を出して、身体が菌と闘う。サンゴも人間と同様に、「ホロビオント」という複合的な共生ネットワークを使って、生き残るために環境ストレスにより避けられない白化に防御システムを発動し、ストレスが減少するまで耐えているというわけだ。

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