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「心身の土台は母が作った」姜尚中さんが新刊『母の教え』

書影『母の教え』
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 ミリオンセラーとなった『悩む力』などで知られる、政治学者で東大名誉教授の姜尚中(かん・さんじゅん)さん(68)が、新刊エッセー『母の教え』(集英社)を出版した。古希も近い年齢になった今、「心身の土台を母が形作ってくれた」と強く意識するようになったという。在日コリアン1世として激動期を生き、読み書きができなかった母。その、血の通った言葉と教えは、「万巻の書物以上に自分を支えてくれている」という。(横山由紀子)

 ■息子の死がきっかけ

 姜さんの母は昭和16(1941)年、故郷の韓国から許嫁(いいなずけ)と結婚するために18歳で日本にやってきた。相手は、軍事工場の労働者として出稼ぎに来ていた韓国人青年。夫婦は東京を振り出しに最終的に熊本に落ち着き、廃品回収を生業(なりわい)としながら必死に生きてきた。

 姜さんは、朝鮮戦争が始まった25年、三男として誕生。「末っ子でかわいがられました。やっぱり僕はマザコンですね」と告白。そう意識するようになったのは、大学進学で実家を出て母と離れてからだ。「自分が心ひかれる人には、どこか母が投影されている。妻にとってはありがた迷惑でしょうけど…」。

 政治学の論客としてマスコミに登場するなど多忙な40~50代を送った。だが、最愛の息子の死という悲劇に見舞われる。そのとき、「半ば生きる屍(しかばね)だった自分に、まるで耳元でささやいているかのように、母の教えがよみがえってきた」という。

 『人間はどがんときでも食べんと。食べたら尻から出すとばい。どがん辛かこつがあっても、生きとる限り、そがんするとだけん』

 一滴の水も、一粒の米ものどを通らないと思っていた自分が、気づけば食べていた。「生が死に勝っていることを意識せざるをえなかった」。母の存在の大きさを感じた。

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