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【スポーツ異聞】ほろ苦かった初の世界バレー 20歳の代表・黒後愛「もっと成長したい」

日本-カメルーン スパイクを決め、笑顔を見せる黒後=横浜アリーナ
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 国内6会場で熱戦が繰り広げられ、10月20日に閉幕したバレーボールの女子世界選手権。世界ランキング6位の日本は目標のメダル獲得はならなかったが、世界4位のブラジル、同5位のロシアが逃した上位6チームによる3次リーグに駒を進め、最終順位は6位と健闘した。この大会で3大大会(五輪、世界選手権、ワールドカップ)初出場を果たしたのが20歳のアタッカー、黒後愛(東レ)。鮮烈な印象を残しながらも大会終盤は出場機会が減り、「正直悔しい思いはある。もっと成長したい」と気持ちを奮い立たせた。

 東京・下北沢成徳高では全日本高校選手権(春の高校バレー)2連覇の立役者となった黒後。力強いスパイクだけでなく、180センチの長身ながら安定感のあるレシーブも魅力で、高校卒業後に入団した東レでも1年目から主力を担い、昨季のプレミアリーグ(現Vリーグ1部)最優秀新人賞にも輝いた。

 今年5月には国際大会のネーションズリーグで代表デビューを飾り、フルセットで制した6月の敵地でのタイ戦では両チーム最多の29得点を挙げるなど中心選手に成長。世界選手権はアルゼンチンとの1次リーグ初戦から先発起用されると、バックアタックや2本のサービスエースで22歳の古賀紗理那(NEC)に次ぐチーム2番目の10得点と好発進。続くオランダとの第2戦は2-3で敗れたが、両チーム最多の25得点と気を吐いた。

 ただ2次リーグ初戦のドミニカ共和国戦で最初の試練を迎えた。相手サーブの標的となる中、チーム2番目の20得点と奮闘したが、2-2で迎えた勝負の最終セットは控えに回り、劇的勝利をベンチで見守った。3-1で制したセルビアとの第3戦も第1セットを大差で失うと石井優希(27)=久光製薬=のリリーフを仰ぎ、その後は出番がなかった。3次リーグはセルビア戦で先発を外れ、イタリア戦は第1セットのみの出場。決勝に進んだ両チームとの大勝負では満足な出場機会が回ってこなかった。

 東京五輪でのメダル獲得を狙う就任2季目の中田久美監督(53)は、もともと今季の強化計画として若い古賀、黒後の育成を重視してきた。ネーションズリーグでは黒後の負担を軽くするため、サーブレシーブの担当から外し、攻撃にほぼ専念させた。世界選手権では満を持してサーブレシーブを担わせ、黒後自身も「すごくうれしかった」と意気に感じていたが、経験の浅い20歳にとって、世界トップレベルのサーブを受け続けるのは簡単ではなく、大きな試練となった。

 メダルの可能性が消滅して迎えた米国との5、6位決定戦でも、黒後は第1セット途中でベンチに下がった。それまでほど結果を重視しなくてもよくなった試合で、この起用法になった理由を中田監督に尋ねると「最後まで使う判断はつかなかった。あのまま使い続けていたら何かが起こったのかもしれないが」と返ってきた。同時に「若い力は必要だと思うが、苦しい場面で活躍したのはベテラン。キャリアのある選手がこのチームを引っ張っていくと再認識した」とも。指揮官に世代交代を一気に進めさせるほどのインパクトは残せなかった。

 それでも総得点で古賀に次ぐチーム2番目の107点を稼ぎ、4位と惨敗したジャカルタ・アジア大会からチームを上向かせた功績は大きい。324点で「得点女王」になった19歳のエゴヌ(イタリア)、アタック決定率トップ(53・66%)でチームを初優勝に導き、最優秀選手にも選ばれた21歳のボシュコビッチ(セルビア)ら同世代の活躍にも大きな刺激を受けた。

 「何かが足りないから(重要な場面で)出られていないと思う。またこういう場に戻ってこられるようにしたい。東京五輪で勝つことをイメージして、日々の練習にも取り組んでいきたい」。さらなる成長を誓い、新装されたVリーグで研鑽(けんさん)の日々を送る。(運動部 奥村信哉)

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