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【昭和天皇の87年】柔和な皇太子妃候補に“待った” 婚約解消の動きが広まった

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 そのころ邦彦王の耳には、婚約解消の動きは山県系の長州閥が勢力拡大を狙った策謀であるとの噂話も届いていた。山県への不信を強めた邦彦王は同年11月下旬、現時点で婚約解消には納得できないと貞明皇后に直訴した。

 だが、これは逆効果だったようだ。将来の天皇の外戚となれば、ただでさえ権勢が強まる。元老や政府の方針に口をはさむことは、厳に謹まなければならないのに、結婚前から表立って行動を起こすようでは先が思いやられる。貞明皇后は、良子女王を皇太子妃とすることに不安を覚えたのではないか。

 邦彦王の行動は、ほかの元老や政府首脳の反発も招いた。当時首相の原敬が9年12月18日の日記に書く。

 「久邇宮の御挙動は穏当ならず」

 こうして、婚約解消の風は一段と強まった。しかし、その風に逆らい、意外な行動に出た人物がいた。裕仁皇太子と良子女王に倫理、修身を教える、杉浦重剛である--。(社会部編集委員 川瀬弘至 毎週土曜、日曜掲載)

(※1)当時の徴兵令では色覚障害者は軍務に支障が出るとして兵役が免除されていた

【参考・引用文献】

○宮内庁編『昭和天皇実録』5、6巻

○宮内庁編『貞明皇后実録』18巻

○片野真佐子著『皇后の近代』(講談社)

○女性自身編集部著『御素顔の皇后さま』(光文社)

○藤樫準二著「皇太子妃・色盲事件」(鶴見俊輔、中川六平編『天皇百話 上』〈ちくま文庫〉所収)

○高橋紘著『人間昭和天皇 上』(講談社)

○猪狩史山編『申酉回瀾(しんゆうかいらん)録』(憲政資料室収集文書)

○原奎一郎編『原敬日記』5巻(福村出版)

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