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【三井美奈の国際情報ファイル】「慰安婦勧告」またか 国連信仰が生んだ出口なき“人権外交”

8月17日、ジュネーブの国連人種差別撤廃委員会で報告する日本政府代表の大鷹正人・国連担当大使(中央、三井美奈撮影)
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 国連取材のためパリから電車でジュネーブに行くと、桃源郷に来たような気になる。アルプスを望む美しい古都。レマン湖は輝き、住民は穏やかだ。さすがスイス。1人当たり資産は世界トップランクだ。

 ジュネーブは人権外交の舞台。口の悪い英国人記者は「欧州のマスターベーションの場」だと評する。民間団体(NGO)と政府の共生を目指す欧州の理想の体現だが、現実には自己満足に過ぎないというのだ。

 国連人権理事会や関連諸委員会は大国も小国も等しく審査し、NGOの意見も入れて忌憚(きたん)なく人権を論議する場。だが、勧告に拘束力はなく、多くは「言いっぱなし」で終わる。紛争地から遠く離れた金満都市での論議だけに「現実離れ感」は際立つ。

 8月末、人種差別撤廃委員会が慰安婦問題で、日本に「被害者中心の恒久的解決」を勧告した。昨年の拷問禁止委員会、一昨年の女子差別撤廃委員会でも同様の勧告をし、日本はその都度反論した。空しい応酬。「またか」である。

 日本はこの問題で、2015年の日韓合意で「最終的かつ不可逆的な解決を確認済み」の立場。8月半ばの対日審査でも説明を繰り返した。すると勧告は「すべての国籍の慰安婦」への対応を求めた。「問題は韓国だけでない」と攻め方を変えたワケ。韓国の鄭鎮星(チョン・ジンソン)委員が審査会合で行った主張が反映された。

 委員は人種差別撤廃条約(1969年発効)の加盟国の選挙で選ばれるが、出身国に縛られず、個人の資格で活動する。鄭氏は「韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)」の元共同代表。慰安婦問題は彼女のライフワークだ。政府間合意後、どうしたら国連文書に慰安婦問題を残せるかを考えたのだろう。

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