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【赤字のお仕事】車のサイドブレーキは「かける」もの? 「引く」もの?

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【赤字のお仕事】
車のサイドブレーキは「かける」もの? 「引く」もの?

 昨年、新規登録車の出荷前に必要な最終検査を無資格の従業員が行っていたという不祥事が、国土交通省の抜き打ちによる立ち入り検査で明るみに出て、「誰であれ検査はしたのだから、車の安全性の確認はできている」といった詭弁(きべん)を弄(ろう)した、あのメーカーである。

 そして今年、さらに、出荷前に実施する排出ガスや燃費に関するデータの検査で測定値を改竄(かいざん)していたことも発覚した。検査合格ラインに達していないデータを出荷できる数値に書き換えたのである。

 時代は変わる。ヘリコプターのような大きなドローンを使ったいわゆる「空飛ぶ自動車」が実現するかもしれない。自動運転車どころの話ではないのである。もはや自動車ではなくなる。

 子供のころ空想した空飛ぶ車には夢があった。わくわくしていたけれど、思っていたほど文明の進むスピードは速くなかった。でもやっとそこに向かって動きだした。実用的な便利さとの引き換えに車を運転する楽しさは奪われていくのだが。

 今の若者は車に興味がないという。お金をかける部分が、車に向かわないらしい。そもそも売れないのだ。売れないのに次から次へと製造され、検査にかかる人員が破綻する。そして都合の悪いものは、出荷するために都合良く改竄する。なんという負のスパイラルか。

 時代の要請に受ける制約がいくつもある中での開発なのだろうが、ただ売りたいだけのメーカーがつくる車に魅力がないのは当然だろう。名車をつくり出し世に残すことは工業製品としての文化の継承であり、人がそれを大事に乗り継ぐこともまた時代を継承するということだ。果たして、今の車が何十年か後の「名車」として何台残っているのか。

 三十数年もその名に憧れ続けてやっと買えた、速くて格好良くてちょっとかわいい真っ赤な「貴婦人Z」のハンドルを初めて握った時の感激は今も忘れていない。(ひ)

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