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【佐藤綾子のパフォーマンス講座(36)】金足農ナインの巻 おとなしい県民性を戦うチームへ変貌させるには

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 こうした中で、選手たちの冬の練習ぶりには猛烈なものがあります。少し前に秋田球児の冬の練習をビデオで見てびっくり仰天。雪の中でもかまわずお互いをおんぶして走り込んでいました。身体にかかる負担は雪の分だけ重くなります。要するに秋田の人は我慢強く無口なのです。「さあ、勝ちに行くぞ!」と大声で叫ぶような文化性とは違うのです。

 ところが、金足農のアルプススタンドの応援は何ということでしょう。ほぼ身体を弓なりにのけぞらせて応援歌を歌っています。エースの吉田輝星君にしても試合後、顔を真っ赤にして全力で校歌を歌っています。あんなエネルギーが残っていたのかと思います。全員一致の動きは花びらが開くようにパワフルで美しい。アンチパフォーマンス型の伝統から表現する集団へ変化している。それが大きな驚きでした。

市民まで意識を変える

 誰だってそうですが、何度やっても1、2回戦で負ければ、「どうせまた出てもダメだろう」と思うのが人間です。その意識を変えるため、秋田の人たちは猛烈な勢いでプロジェクトに立ち向かったそうです。社会人野球の名門、日本新薬の前田正治元監督が解説してくれました。

 「おとなしい県民性なので」という弱気な指導者らを説き伏せ、「勝つためには相手より意識を上に持っていかないとダメだ」と呼びかけ、各校が持っていた甲子園出場校の細かいデータやマニュアルを整理して一本化し、「甲子園に行けるんだ」と強く呼びかけました。この意識改革が指導者を変え、選手を変えていったのです。

 もともと吉田投手は高校生離れした速球の持ち主ですが、そんな優れた投手の育成だけでなく、市民の意識改革もやってしまった。そのあらわれがパブリックビューイング会場に訪れた人の多さです。会場には1500人もの市民が集まり、優勝を逃した瞬間には号泣する姿がありました。意識改革は選手、監督から市民にまで行き届いたのです。

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