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【iRONNA発】東京医大不正入試 現役女医が見た「男社会」の現実 山本佳奈氏

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【iRONNA発】
東京医大不正入試 現役女医が見た「男社会」の現実 山本佳奈氏

入試で女子の一律減点などが明らかになった東京医科大=東京都新宿区 入試で女子の一律減点などが明らかになった東京医科大=東京都新宿区

 研修医2年目の秋ごろだったと思う。母校の産婦人科教授がはるばる私と会うために、当時勤めていた福島県南相馬市までやってきた。その後、「母校に帰ってきなさい」「専門医を取得しないと将来の可能性を狭める」などと何通もメールが届き、それほどまでに医局員が欲しいのかと驚いたのを覚えている。

 若手に「専門医」という肩書をチラつかせ、医局員として働かせるのが専門医制度の実態である。医学部教授の立場にしてみれば、これほど有り難い制度はないだろう。働き盛りの若手医師を囲い込み、後期研修を終えれば、「雇い止め」することができるからだ。そして、新たな若手を「教育」という名の下で縛り付ける。普通の職業なら、こんな有期雇用が認められるはずがない。

 裏口入学もしかりである。世間で言う「コネ入社」と同じだが、医師になるための切符をくれた大学には一生頭が上がらない。医局員として一生働き続ける。大学病院の経営者にしてみれば、裏口入学を認めた代わりに、ずっと働いてくれる医局員を確保できる。お安い御用なのだろう。

 「肩書なんかいらない」

 私が医師を目指したのは、大学教授のような「肩書」が欲しいからではない。患者に寄り添っていく中で、医療と医学の両方を学びたかったからだ。私は、大学医局には属さず、新専門医制度にも登録しなかった。福島県と東京都で臨床医として働きながら、臨床研究にも取り組んでいる。

 女子受験生を一律減点し、恣意(しい)的に合格者数を抑制していたことは、どう考えても女子差別である。だが、根底に隠れている問題は、医学教育という名の下、大学側が入試や専門医の名をかたった医師の囲い込みや就職活動が行われている実態である。それは典型的な「男社会」だ。私はそのような人生を送りたくない。おそらく同様に感じている女性医師も多いだろう。

 この問題をただの「女性差別」という問題だけで終わらせることなく、その裏に隠された医学教育という名の下の慣習にまでメスを入れる機会と捉えるべきだ。

                  

 【プロフィル】山本佳奈(やまもと・かな)

 医師。平成元年、滋賀県生まれ。滋賀医科大卒。福島県の南相馬市立総合病院を経て、ときわ会常磐病院(いわき市)、ナビタスクリニック(東京都)で内科医として勤務。NPO法人医療ガバナンス研究所研究員も務める。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)。

                  

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