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【モンテーニュとの対話 「随想録」を読みながら】〈32〉『神やぶれたまはず』再読

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 9日の午後、ポツダム宣言受諾をめぐって閣僚会議が開催されるが結論は出ない。その夜、御前会議が開かれ、天皇陛下のご判断を仰ぐこととなる。

 長谷川さんは「日本書紀」に記された仁徳天皇の課税一時停止、元寇のさいに亀山院が石清水八幡宮にこもり「わが身をもって国難に代えん」と祈願された故事、さらには大雨で死者の出た報を聞いた花園院が「民に代わってわが命をすつる」と祈願した事例をあげてこう記す。《国民のために天皇がわが身をすてるといふ伝統は、単なる建前ではなく、すでに代々の天皇の血肉となつてきたのである》

 御前会議に同席していた内閣書記官長の迫水(さこみず)常久は天皇陛下のこのときのお言葉をこう伝えている。

 「このまま戦争を本土で続ければ日本国は亡びる。日本国民は大勢死ぬ。日本国民を救い国を滅亡から救い、しかも世界の平和を、日本の平和を回復するには、ここで戦争を終結する他はないと思う。自分はどうなっても構わない」

 かくして天皇陛下は、たきぎの上に横たわっている国民の隣にご自身を横たえたのだ。戦後の日本はそこから出発した。この「特別の瞬間」を忘却のふちからすくい上げ、きちんと意味づけることができない限り、われわれは精神のまひ状態から抜け出すことはできないだろう。

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