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【赤字のお仕事】「遡って読む」

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 反対に「分かる話」の場合はどうか。関心や思い入れがある話題だと、文章の内容に注意が向きがちで、単純な点検がおろそかになることもあると思う。そんなときは「遡って読む」とよいかもしれない。話の流れをずたずたにして、誤字の発見に全力を挙げるのである。

 後ろから着手すると、結論や結末を把握したうえで読むことができる場合もある。疲れた頭にとっては、その方が楽に感じることもあるようだ。私が「遡る」ようになったのも、難しい文章を後ろから読んでみたら負担が軽かった、といった経験がきっかけだったのかもしれない。

 「分かる話」と「分からない話」は、「話の内容」に注意が向きがちな点で共通しているのではないだろうか。「分かる」場合は、のめり込む。「分からない」場合は、何とかして付いていこうとする。

 前後のつじつまが合わない文章もあるので、内容を理解することはもちろん大切だ。しかし、筆者らが見落とした細部を拾い上げるには相当な注意力が必要になることもある。内容をあまり考えずに文字を追う作業は欠かせないと思う。

 さて、「さかのぼる」を「遡る」と書くと、3文字分の短縮になる。同様の例は「快い(こころよい)」「懐(ふところ)」「恭しい(うやうやしい)」など、常用漢字の音訓内に40以上確認できた。

 ひょっとして「3文字短縮」が最大なのではないか、と考えながら常用漢字表を眺めていたのだが、「遡」にたどり着く前に「4文字短縮」が現れる。

 「志(こころざし)」。その後も発見が続き「承る(うけたまわる)」「詔(みことのり)」「政(まつりごと)」。これらは漢字1文字が仮名5文字分を担っている。

 「承る」の働きぶりには、同じ動詞仲間として「遡る」も脱帽するしかないだろう。「承」の1文字に仮名5文字分の情報が詰まっているとは、なかなかすごいことではないか。それを読むことができる日本人も大したものだと思う。

(一)

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