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【iRONNA発】ネトウヨ ユーチューブ「大量削除」の波紋 遠藤薫氏

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 ◆裁くのはIT企業

 さて、今回の「運動」を通して一つ言えることは、その効果が極めて間接的であり、また限定的だったことである。というのも、先にも述べたように、実際に投稿を削除したりアカウントを停止したりする権限を持っているのは、グーグルやツイッターなどの大手IT企業である。ユーザーからの通報を受けて、ある投稿がヘイトスピーチなのかそうでないのかを判定するのも、これらの企業である。

 従来なら通報先となったはずの国家や司法は、単にキャンペーンを展開しているにすぎず、法制化されたといっても罰則などはないのである。だから今回の「運動」では、国家(警察)や公的機関には通報しない。グーグルやユーチューブやツイッターに直接通報する。

 こうしてみると、今やヘイトという社会悪を裁くのはIT企業なのだ。いつの間にか、IT企業こそが「公(おおやけ)」を担う主体になったのかもしれない。この構造を踏まえるならば、将来、「規制」をたてに「表現の自由」に行きすぎた制限をかけてくるのは、IT企業かもしれないのである。

 まだまだ書きたいことは多々あるが、今回の「運動」から浮かび上がる最も興味深い謎は、右翼と左翼、あるいは保守と革新の軸と、この運動の対抗軸とどのように交差しているのか、あるいはすれ違っているのか、という問題である。

 「2ちゃんねる」とは結局、私たちの社会に何をもたらしたのか。開設以来すでに20年を過ぎた今、改めて考えることは大きな意味があるのかもしれない。

【プロフィル】遠藤薫

 えんどう・かおる 学習院大法学部教授。昭和27年、神奈川県生まれ。東大教養学部卒、東工大理工学研究科博士後期課程修了。専門領域は社会システム論、社会情報論、メディア文化論。著書に『ソーシャルメディアと公共性』(東京大学出版会)など。

 iRONNAは、産経新聞と複数の出版社が提携し、雑誌記事や評論家らの論考、著名ブロガーの記事などを集めた本格派オピニオンサイトです。各媒体の名物編集長らが参加し、タブーを恐れない鋭い視点の特集テーマを日替わりで掲載。ぜひ、「いろんな」で検索してください。

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