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【海峡を越えて 「朝のくに」ものがたり】(24)警察官の半数近くが朝鮮人だった 映画『望楼の決死隊』に見る実相

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【海峡を越えて 「朝のくに」ものがたり】
(24)警察官の半数近くが朝鮮人だった 映画『望楼の決死隊』に見る実相

映画「望楼の決死隊」に出演した原節子 映画「望楼の決死隊」に出演した原節子

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 戦後の日本映画を代表する巨匠の一人、今井正(ただし)(1912~91年)がメガホンをとり、昭和18年に公開された映画『望楼の決死隊』(東宝)は、10年ごろの満州国(現中国東北部)との国境に近い朝鮮北部の村を舞台にしている。“永遠の処女”原節子(1920~2015年)が、匪賊(ひぞく)と対決する国境警察隊所長の若妻役を演じ、戦闘シーンで拳銃をぶっ放す派手なアクションが話題になった。

 撮影当時、国境にある朝鮮・咸鏡北道知事を務めていた古川兼秀(かねひで)(1901~74年)は、現地ロケにやってきた原など、撮影隊に会ったことを、よく家族に話していたという。

 映画のストーリーを簡単に紹介しよう。朝満国境を流れる鴨緑江や豆満江が凍結する厳冬期には、満州から匪賊が河を渡って朝鮮へ攻撃を仕掛けてくる。

 匪賊には馬賊、土匪、宗(教)匪などがあるが、映画に登場するのは、共産主義者勢力による「共匪」。北朝鮮の初代最高権力者となる金日成も参加していた「抗日パルチザン」と称する武装ゲリラ集団である。朝鮮人住民とともに土地を警備する国境警察隊は、厳寒のなか不眠不休で任務にあたり、共匪との激闘で殉職者を出しながら、ついには村を守り抜く…。

 映画の中で、朝鮮人の住民の心情は、日本側にある。朝鮮総督府後援の作品だから、多少のプロパガンダ色はあるものの、実感情に近いだろう。共匪の「抗日」宣伝に共感する住民もなくはなかったが、多くの朝鮮人住民は、民間人への襲撃、放火、略奪、誘拐…と非道の限りを尽くす共匪を恐れ、嫌っていた。

 映画の国境警察隊には朝鮮人警察官もおり、共匪側の凶弾に倒れ殉職する。日本人警察官は悔しさをにじませ、仲間の仇(かたき)をとるべく銃弾が飛び交う最前線に飛び出してゆく。古川は、北部の平安北道や黄海道で警察部長(現在の県警本部長に相当)を務めた経験があり、匪賊掃討の陣頭指揮もとっていたから、映画には、感慨深いものがあったに違いない。

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