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【アメリカを読む】多忙、重圧…追い詰められるアーティストたち 華やかな米音楽業界の影

マライア・キャリーさん(AP)
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 華やかに見える音楽業界の影の部分が垣間見えるニュースが続いた。米人気歌手のマライア・キャリーさんによる双極性障害=躁鬱(そううつ)病=の告白と、人気DJで音楽プロデューサー、アヴィーチーさん(28)=本名・ティム・バークリング=の死だ。ともに創作活動に追われ続けたことが背景にあるようだが、アヴィーチーさんは自殺との見方も出ている。人知れずストレスや孤独を抱えるスターたちの姿とは…。(ロサンゼルス 住井亨介)

「信じたくなかった」

 米芸能誌「ピープル」とのインタビューで、「最近まで否定と孤独の中で過ごしてきて、常に誰かに暴露されるのでないかと恐れていた」「あまりに重荷で、これ以上1人で抱え込むことができなかった」と語ったマライアさん。

 2001年に診断された際には「信じたくなかった」といい、最近になって薬物治療を受け始めたという。

 双極性障害は鬱病と躁病が交互に現れたりする気分障害の一つ。マライアさんは「長い間、睡眠障害があった」「働き続けた結果、怒りっぽくなり、人々を幻滅させるのではないかとびくびくしていた」と吐露したが、治療を始めてからは順調のようで、「ひどく疲れたりけだるくなったりすることもなくなった」としている。

 この告白はファンから温かく迎えられ、マライアさんは「仕事に懸命に打ち込んでるわ。(ファンの)みなさんの圧倒的な支持に勇気づけられている」とツイッターに書き込み、前向きな姿勢をアピールするまでになっている。

「安らぎを求めていた」

 一方、世界中で追悼の声が止まないのが、エレクトロニック・ダンス・ミュージック(EDM)の先駆者として知られ、4月20日に中東オマーンの首都マスカットで亡くなったアヴィーチーさん。

 死因などは明らかにされていないが、家族は声明で「彼はこれ以上続けられなかった。安らぎを求めていた」などと自殺を示唆した。

 米メディアによると、1989年、スウェーデン・ストックホルム生まれのアヴィーチーさんは、独学で音楽制作を学び、18歳の時に本格的活動をスタート。2007年に初シングルを出した。

 13年には「ウェイク・ミー・アップ」がビルボードチャートのホットダンス・エレクトロニックソング部門で26週連続1位を記録し、12、13年のグラミー賞にノミネートされている。

 その輝かしいキャリアの一方で、過度の飲酒で急性膵炎(すいえん)を患ったり、胆嚢(たんのう)などの摘出手術を受けてツアーをキャンセルした過去を持つ。

 本人は米芸能誌「ハリウッド・リポーター」に、「人生を振り返ると、本当に自分がやったのかと思うんだ。ある意味、人生最高のときだった。多くのストレス、不安など犠牲を伴ったけれど、人生最高の旅路だった」と語り、多忙な活動の陰で精神的なプレッシャーを抱えていたことを示唆していた。

 家族の声明も「最愛のティムは求道者でした。もろい芸術家的精神を持ち、実存する問題に答えようとしていました」「極端な完璧主義者で、世界中を飛び回っては身を粉にして働き、それが極度のストレスになっていました」としており、高まる人気と裏腹に心身の疲労は蓄積する一方だったようだ。

 16年に健康上の理由で公演活動から引退を発表したものの、作曲やアルバム制作のプロデュースは続け、死の直前にはEP「AVICI(01)」(17年)がビルボード・ミュージック・アワードの最優秀ダンス・エレクトリックアルバム部門にノミネートされていた。

 最後となったツイッターの書き込みは4月17日。「(ビルボード・ミュージック・アワードでの)ノミネートありがとう!」。あまりに短い別れの言葉が、ファンの悲しみを深めている。

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