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【防衛オフレコ放談】自衛隊が抱える重大欠陥=「有事に司令塔がいない」 複合事態に対処できぬ恐れ 態勢見直し急務

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【防衛オフレコ放談】
自衛隊が抱える重大欠陥=「有事に司令塔がいない」 複合事態に対処できぬ恐れ 態勢見直し急務

 東日本大震災の教訓として指摘される自衛隊の重大な欠陥がある。陸海空3自衛隊の運用を常時、一元的に指揮する司令部がなく、有事で日本防衛のための全体的な戦闘局面を指揮する司令塔が存在しないという欠陥だ。中国や北朝鮮から仕掛けられる多様な波状攻撃や複合事態に対処できない恐れがあり、態勢の見直しが急務の課題となっている。(社会部編集委員 半沢尚久)

統幕長の不在

 「時間配分でいえば、首相官邸や米軍との調整が6割、自衛隊のオペレーションは4割だった」

 東日本大震災の際、自衛隊制服組トップの統合幕僚長(統幕長)として震災対応にあたった折木良一氏はそう振り返る。

 折木氏が震災対応で割いた時間を検証したところ、官邸に出向いたり、トモダチ作戦で支援を受けた米軍と打ち合わせをしたりすることに6割の時間が充てられ、自衛隊の運用に充てることができた時間は4割にすぎなかったという。

 折木氏は「オペレーションに集中したかったが、物理的にできなかった。結果として大臣にも部隊にも負担をかけてしまった」と話す。

 統幕長の役割は防衛相の補佐で、自衛隊の運用では防衛相命令を執行する。防衛相命令の執行とは、統幕長が防衛相に上申し判断を仰ぎ、防衛相命令を部隊に伝え、行動を監督することを指す。

 つまり統幕長は防衛相命令を受け、部隊を動かす上で重要な役割を担う。一方で、官邸との調整など「政治と軍事のパイプ役」になることも求められ、有事の際にも一定程度の時間は防衛省を離れざるを得ないことが想定される。

 これでは部隊を運用する防衛相命令の執行に専念できないのは自明で、命令執行の役割を統幕長から切り離す必要がある。

複合事態の恐れ

 東日本大震災ではこんなこともあった。

 震災発生から6日後のことだ。ロシア空軍の情報収集機が日本海で日本領空に接近し、領空侵犯の恐れがあるため航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)して対処した。

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