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【昭和天皇の87年】首相を改心させた「陛下の思召」 風は終戦派に吹き始めた

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 一方、陸軍中央部でもこの頃、皇室の存廃について欧米メディアがどう報じているかを丹念に調べ、終戦派への反論材料を集めていた。

 抗戦派の筆頭、陸軍省軍務課内政班長の竹下正彦中佐が8月13日付の「機密作戦日誌」に書く。

 「ニューヨークタイムス及ヘラルドトリビューン両紙ノ、日本皇室ニ関スル論説放送アリ。皇室ハ廃止セラルベシトノ露骨ナルモノナリシヲ以テ、大イニ喜ビ急遽印刷ノ上、閣議席上ノ大臣ニ届ケタレドモ、迫水(久常内閣書記官長)、閣議中配布セザリシ由ナリ」……

× × ×

 終戦派と抗戦派が水面下で動く中、13日午前9時から始まった最高戦争指導会議は、即時受諾を主張する外相を首相と海相が支持し、国体護持などについて再照会すべきと訴える陸相を陸海両総長が支持するという、3対3の意見の応酬で膠着(こうちゃく)状態となった。

 だが、即時受諾論に分があったといえよう。昭和天皇という、見えない1票があったからだ。

 午後3時まで断続的に続いた会議の途中、昭和天皇が外相を宮中に呼んだ。

 《午後二時二十分、(天皇は)御文庫において外務大臣東郷茂徳に謁を賜い、昨日午後の閣僚懇談会以来のバーンズ回答をめぐる審議の状況につき奏上を受けられる。天皇は外相の主張に支持を表明され、首相にもその旨を伝えるよう仰せられる》(昭和天皇実録34巻42頁)

 風が、再び終戦派に吹きはじめた-。(社会部編集委員 川瀬弘至 毎週土曜、日曜に掲載)

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