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【正論5月号】“父の敵”を崇拝する男 習近平は第2の毛沢東になるのか 静岡大学教授 楊海英

人民政治協商会議の開幕式で拍手する習近平国家主席=3月3日、北京の人民大会堂(共同)
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※この記事は、月刊「正論5月号」から転載しました。ご購入はこちらへ。

 中国共産党の習近平総書記は目下、3月に開かれた全国人民代表大会で自らの名前を冠した思想を憲法の中に書き込むのに成功した。党と軍、それに政府の全権を掌握し、中華人民共和国の創設者毛沢東主席と並ぶ権威が確立されたことになる。

 習近平を権力の頂点に据えようとして、その側近たちはだいぶ前から周到に用意してきた。まず、2月25日に国営の新華社通信を利用して、英文で国家主席の任期制を撤廃する方針だと報道。インターネットの時代とは言え、実はこうした手法も中国共産党の古い伝統を踏襲したものにすぎない。新しい重大な政策を実施する前には必ずといっていいほどまず香港や台湾に「リーク」して国際社会の反応を探り、それから国内へと導入していく。習近平とその側近たちもまた前例に従ったわけだ。

 案の定、国際社会のメディアは大きく報じ、習の独裁体制の確立か、との趣旨の報道が目立った。国際社会よりも国内の反応の方が深刻だ。おりしも1916年に中華民国の大総統だった袁世凱が皇帝の座に就こうとして復古的運動を行った時期から100年の歳月が過ぎ去ろうとしていたこともあり、「一世紀が経っても中国は近代的な国家に脱皮できていない」とか、「歴史に逆行する」などのような批判や失望の声が上がった。当然、習政権はこうした人民の声を封じ込め、時代と逆行する道をひたすら走り続けようとしている。では、こうした中国の前近代的な政治状況をどのように理解すればいいのだろうか。

毛沢東の血腥いカリスマ性

 マックス・ウェーバーはその大著『経済と社会』の中で、古今東西にわたる世界史的規模の社会制度について分析した際に、支配の三つの類型を示した。それは、カリスマ的支配と伝統的支配、そして合法的支配である(『権力と支配』有斐閣、1967年)。カリスマ的な支配は狩猟のリーダーや部族の勇将の活躍に淵源し、超自然的な力を持つ者が集団を統率するのに神から遣わされたという神的性質を帯びる。伝統的な支配は歴史に基づく風習や家柄、身分に即した秩序を重視する。そして、合法的支配は人民と支配者の双方に法律の順守を求める。

 中国共産党が作り上げた支配体制はどれも前近代的であり、1949年に中華人民共和国が樹立して来年で建国70周年を迎えようとしているにもかかわらず、いまだにどの側面にも進歩が見られない。

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