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【iRONNA発】北朝鮮情勢 金正恩外交、日本は「蚊帳の外」でいい 重村智計氏

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 しかしながら戦後、朝鮮戦争に直接参加しなかった日本は、「朝鮮特需」により経済復興という利益を手にしたのである。この教訓は非常に重い。

 実は、先の中朝会談において、報道も専門家も見落とした一節がある。「朝鮮半島情勢は重要な変化も起きている。情義の上でも道義の上でも、私は時を移さず、習近平総書記同志と対面して状況を報告すべきだった」。中国外務省の公表文には、金委員長のこの発言があった。

 この発言は「これまで中国を訪問せず申し訳なかった」という金委員長の謝罪である。「情義」「道義」という言葉にも、「義理と人情を忘れていた」とのおわびが込められている。「時を移さず、状況を報告すべきだった」ということから、北朝鮮が南北会談と米朝会談を中国側に事前説明しなかった事実が読み取れる。

巻き込み外交

 とりわけ、朝鮮半島の国家は「乗り遅れ論」を流すことで、周辺の大国を外交競争に引きずり込む戦略を展開する。まさに「巻き込み外交」の天才だ。例えば、米ソ冷戦が終結した1990年、旧ソ連は密かに「ソ韓国交正常化」を北朝鮮に伝えていた。

 何も知らない日本は当時、金丸信元副総理を団長、田辺誠社会党副委員長を副団長として訪朝し、日朝国交正常化や経済支援を約束する羽目になった。国家崩壊を恐れた北朝鮮が日本に画策した「巻き込み外交」が成功したのである。

 北朝鮮は冷戦時代、大国の対立を利用し、中ソの間を行き来する「振り子外交」を得意としていた。だから、今でも周辺諸国に「乗り遅れ論」をまき散らす。南北関係が悪化すれば米朝交渉に向かい、米朝がダメとなれば日本に秋波を送ることを繰り返したのである。

 過去、南北関係と米朝関係、中朝関係、露朝関係が同時に友好的であることはなかった。つまり、南北会談も米朝会談も「簡単に成功するとはかぎらない」、この戦略的視点が大切である。米朝会談の焦点は「北朝鮮の核放棄」「在韓米軍撤退」「米朝平和条約」「対北制裁の解除」、この4つの外交カードをどのように組み合わせて合意できるかだ。極めて難しい交渉であり、決裂の可能性もある。

 ただし、日本にとって朝鮮半島に関わらない政策が「戦略的」だとしても、拉致された日本人の救出は急務だ。そのためには日朝首脳会談が欠かせない。日本は、拉致と核問題を切り離した交渉に持ち込むのが望ましい。安倍首相は4月中旬の訪米でトランプ大統領に対し、米朝会談で拉致解決を議題にさせ、核と切り離した日朝会談の実現を改めて求める必要がある。

                   ◇

【プロフィル】重村智計氏

 しげむら・としみつ 東京通信大教授、早稲田大名誉教授。昭和20年、中国・遼寧省生まれ。毎日新聞記者としてソウル特派員、ワシントン特派員、論説委員などを歴任。著書に『外交敗北』(講談社)、『日韓友好の罪人たち』(風土デザイン研究所)など多数。

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 iRONNAは、産経新聞と複数の出版社が提携し、雑誌記事や評論家らの論考、著名ブロガーの記事などを集めた本格派オピニオンサイトです。各媒体の名物編集長らが参加し、タブーを恐れない鋭い視点の特集テーマを日替わりで掲載。ぜひ、「いろんな」で検索してください。

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