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【野口裕之の軍事情勢】戦後最大のスパイ事件取材と在英亡命諜報機関員暗殺で見た露毒殺史   

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「ラストボロフ事件」の闇

 室井は1954(昭和29)年2月5日に警視庁に自首。ソ連の2等書記官を装う内務省諜報機関員ユーリ・ラストボロフ中佐=当時(33)=に「米軍極東情報部地理課員時代の51年以来、約40回にわたり情報提供した」と自供した。情報は「朝鮮戦争の休戦交渉決裂の場合、米軍は中国の本土爆撃と海上封鎖を実行」「沖縄には戦術核が到着」などを含んでいた。報酬は計68万5千円。米軍での月給が手取り2万5千~3万円、外務省の手取りが1万5千円だった頃である。

 室井を追ったが、既に死亡していた。妻=当時(65)=や関係者を説得し、捜査関係資料の内容を確認・捕捉した。「闇の世界」は小説の中だけではなかった。

 第一幕《1954年2月3日夜7時半、都内のアパートで節分の豆まきを終えた室井は窓を閉める際、電柱の陰に口笛を吹く人影を見た。妻に『たばこを買いに行く』と言って出た。捜査関係資料では『たばこ』が『仁丹』だったが、妻は『たばこは買い置きがあったのでいぶかった』ことを覚えており、室井の記憶違いかもしれない。肩をたたかれた室井が振り向くと、中国人風の男が『自殺しろ』と、低いロシア語でささやき、走り去った。2日前、在日ソ連代表部(大使館に相当)が『ラストボロフは挑発目的の米国諜報機関に拉致された(実は亡命)』と発表していて、口封じで『消される』と直感した》

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