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【公太へ 震災遺族の7年(5終)】うれしかったスーツDM 「20歳おめでとう」風船届け

東日本大震災の津波で息子の公太さんを亡くした丹野祐子さん。「20歳おめでとう」と公太さんへのメッセージを書いた風船を飛ばした=11日、宮城県名取市(桐山弘太撮影)
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 「今日行った?」

 「まだ」

 「じゃあ行くか」

 丹野祐子さん(49)=宮城県名取市=と夫(56)には行き先を口にしなくとも通じる場所がある。

 東日本大震災の被災地で「あの日」と言えばいつか察しのつくように。

 震災で長男の公太君=当時(13)=を亡くした。

 おだづもっこ。

 夫婦げんかで険悪なムードになると、親の顔をうかがいながらお尻から「プッ」。場が和むというか怒る気がうせるというか。

 東北弁で「お調子者」を指すキャラクターを地でいっていた。

 ダイエットと飼い犬の「サラ」の散歩を兼ねて毎晩、母子で近所を歩いた。

 学校のこと。

 友達のこと。

 並んで歩を進めながらいろいろな話をした。きっとその時に一生分言葉を交わしたのだろう。

 「のど渇いたね」

 途中でジュースを買ったりするからやせたのはサラだけだった。

 死者の記憶は声から薄れるという。

 4年目ぐらいで怪しくなった。声変わりしていたのかどうかも覚えていない。

 姿形も時々おぼろげになる。

 いつも自分の後をくっついていた幼い頃の輪郭は鮮明だ。成長するにつれてまだらになる。

 生きていたら今年二十歳になる。

 〈成人式スーツのご案内〉

 洋服の青山からダイレクトメール(DM)が届いた。

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