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【正論2月号】世界の記憶、韓国「慰安婦の日」…左翼の牙城「赤い国連」でいかに戦うか

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【正論2月号】
世界の記憶、韓国「慰安婦の日」…左翼の牙城「赤い国連」でいかに戦うか

パリのユネスコ本部(ロイター) パリのユネスコ本部(ロイター)

 高橋氏 ジュネーブの国連がいいように利用されてしまっているのは由々しいですが、ただ、これをけしからん、と声を荒らげるだけではダメで、日本の保守系の人たちがアプローチしてこなかったという反省はすべきなんですよね。

 西岡氏 そう。ちょうど吉見氏の話が出ましたが、彼らのやり方に倣って私たちが歴史認識問題に絞った研究会をつくったのもそのためです。国連そのものは中立で左傾化しているわけではありません。ですからちゃんと持ち込めば通じます。

 高橋氏 よく保守系の団体が外務省を悲憤慷慨して非難しますよね。自民党の歴史関係の部会などに参加すると、自民党の議員が外務省を難詰する場面に出くわします。  

 彼らの熱意や気持ちに一定の理解はできますが、何か違うと感じるんです。それでは自分は外野にいて人ごとのようにやじを飛ばしているだけで、大切なのは自分が内野に出てきて自分も守備に就こうという姿勢じゃないかと思う。一緒に取り組まないと日本は守れない、そう考えて一致結束しないと、やっぱり独り善がり、人ごとで終わってしまいます。

 慰安婦問題は西岡先生や秦郁彦先生が日本国内では理論的に完全に勝利しています。ところが海外からそう見られていないことが一番の問題でしょう。海外からは日本の一部の歴史修正主義者、国家主義者がいろいろ言っているとみられている。そうしたこともきちんと視野に入れて歴史修正主義ではないことを明確に反論して対応しないと国際的に説得力のあるアプローチにはならない。

外野からのヤジで済ませていて良いのか

 西岡氏 私自身の体験で言えば拉致問題は国連のジュネーブの人権委員会(2006年から人権理事会に格上げされた)、人権理事会が非常に積極的なんです。国連に僕らが最初に働き掛けたのは2000年で、日本ではまだ拉致=疑惑といわれていたとき、なんとか出口がないかとニューヨークの国連本部に行き「強制的失踪作業部会」-政府が自国民を失踪させているケースについて政府を通さず家族を探してくださいと人権委員会に訴えることができる窓口です-という制度があることを知りました。

 「強制的失踪」も拉致と同じですが、拉致事件の場合、犯人が自国政府でなく外国政府だという違いがありました。でもやってみようと2000年、ジュネーブまで書類を持って行ったのです。

 でも書類審査で落とされました。ところが2002年、金正日が拉致を認めたでしょう。すると急に外務省が代行して追加書類を持っていってくれた。その結果、2002年から今まで毎年、「強制的失踪作業部会」が拉致問題を審査し、北朝鮮政府に拉致被害者について回答を求めています。

 ただ、強制力はありません。国連で強制力を持つのは安保理事会ですから、私たちはここに拉致問題を持ち込んで強制力を備えた制裁決議ができることを目標にしました。2012年には人権理事会が人権調査委員会を設置し一年かけて拉致を含む北朝鮮の人権侵害問題を徹底的に調査しました。2013年に出された報告書で拉致を含む人権侵害は「人道に対する罪」と規定され国際社会には人権侵害被害者を(保護する責任)があり、責任者である金正恩を国際刑事裁判所に訴追すべきだと勧告しました。

 「保護する責任」とはNATOがユーゴを爆撃した時にいわれた考え方です。ユーゴは別にNATOに侵略したわけではありませんが、国内における人権侵害があまりにひどいから保護する責任があるといって爆撃したのです。この言葉が拉致を含む北朝鮮の人権問題にも使われている。ここ4年は安保理で毎年、北朝鮮の人権問題が正式議題になり、金正恩を訴追するかどうか論じられて-中露が拒否権を持っていて訴追まではいきませんが-います。それはジュネーブからニューヨークへと考えて動いたから出来たのです。「赤い国連」などと批判して終わりにせず、国連も使いようだと考えるべきです。

 高橋氏 同感です。国連は赤だ、ユネスコは赤だといっても始まらない。国連やユネスコに問題がないとはいいません。確かに問題はあると私も思いますが、それではさっきと同じようにそれは外野からやじ飛ばしているのと一緒にすぎないのです。

これからの対話で留意すべきこと

 西岡氏 先送りされた8カ国のNGOが10月30日に声明を出しました。「私たちが登録申請した後に、日本は文化先進国ということができないほどの暴力的行為をしてきた。日本に有利なように関係規定を変えるように執拗に要求し、分担金を出さなかったり、ユネスコから脱退するという脅迫をしてきた」「登録申請された資料に対話を促せということは、すでに歴史解釈に介入した結果だと見なされるべきだ。 ユネスコは自身が作った定款に自らが違反する結果を招いた」などとして「国際連帯委員会はユネスコ世界の記憶遺産事務局の勧告に従い、忠実に対話に臨むだろう。ただし、ユネスコはすべての政治的要因を排除して、ユネスコ世界の記憶遺産の登録基準に合わせて、客観的に対話を導いていくことができるプロセスを明確にさせなければならない」「国際連帯委員会は世界他の国々とも連帯して、今回日本政府が行ったユネスコに対する不当な圧力行為を調査して、その事実を世界に広く知らしめるのと同時に、ユネスコ世界の記憶遺産がどちらか一つの国家や政治勢力によって動揺せず客観的な立場を堅持することができるように監視し牽制する」と明らかにしています。

関係を断つという考え方もあるのではないか

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