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【正論2月号】世界の記憶、韓国「慰安婦の日」…左翼の牙城「赤い国連」でいかに戦うか

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【正論2月号】
世界の記憶、韓国「慰安婦の日」…左翼の牙城「赤い国連」でいかに戦うか

パリのユネスコ本部(ロイター) パリのユネスコ本部(ロイター)

 要するに状況は今、保留で先送りになっただけです。おかしな申請の登録を阻止したということは大きな成果だと思いますが、成果を生かすためにも今後、慎重に相手の出方を見ながら、何をすべきか考えなければなりません。

 杉田氏 自民党の「日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会」でも今回のユネスコの世界の記憶の申請やサンフランスシスコの慰安婦像、カナダの南京の日や韓国の慰安婦を称える日について外務省から説明を受けました。世界の記憶は冒頭の議題で-これまで負け続きの歴史戦でしたが-ここは一矢を報いたと言えましょう。

 実は当選後、2回ほど河野太郎外務大臣と直接お話しする機会がありました。私は、外務省や政府にはできない、民間にしかできないことがある、とまず申し上げました。例えば国連人権理事会関係の委員会でのスピーチは、バッジを着けたらできません。これは民間でないとできないんです。韓国では日韓合意-政府同士は非難し合わないと約束しました-以降、民間の人たちを前面に出し、政府はそこにお金をだしてロビー活動をやらせています。

 せめて日本は官と民が一致結束することが大事だ、と申し上げました。同じゴールを目指していることを確認し、連携できるところは連携する。役割分担できるところは役割分担する、あるいは互いにバックアップする。そうしたことをもっとしっかり考えてほしいと申し上げました。

 官が民の動きを煙たがり、後ろから鉄砲を撃つ、つぶしにかかるようなことはやめてほしい。海外に慰安婦像が建つ際、これに反対する在留邦人を領事館がまあまあと抑えつけるといった例は多いんです。そういうことはなくしてほしい。毅然とした態度で結束して対応してほしいです。

保守の運動に一石を投じた「なでしこアクション」

 高橋氏 今回、官民の連携がうまくいったといいましたが、民間側の成果は3つあります。実は世界の記憶は国内で2つしか案件が出せない仕組みになっています。しかし複数の国の当事者が共同申請すれば、2つの枠以外で出せるのです。山本優美子さんはこの「例外」に気付いて申請しました。この“発見”は大きかった。

 杉田氏 彼らも8カ国で出していますからね。

 高橋氏 2点目はユネスコに対話を要請するオープンレターを出したこと。これも大きな影響を与えました。それから3つ目は今結束という言葉が出ましたが、今まで新しい歴史教科書をつくる会と教育再生機構といった具合に2つに分かれていた保守系団体の運動が100人の学者声明などでは一致団結できた。これが大きな成果につながったと思うんですよ。

 慰安婦問題は今まで左翼の牙城でした。国連があるジュネーブにも30年前から日弁連等の人たちが詣でており保守系は私も含めてここ数年の動きに過ぎません。ジュネーブはNGOが中心に動く世界で、慰安婦で有名な中央大学の吉見義明教授らはそのNGOとうまく連携できている。「戦争責任研究」という左派の学術団体が出す雑誌や論文は色々な場面で利用されているんです。

 西岡氏 山本さんたちのやり方についていえば、彼女たちが「何か言ってやりました」的な運動ではなかったことが大きいですよ。国連に思想は関係ありません。問われているのは申請書を出すか出さないか、要件を満たしているか、満たしていないかで、国連に「これを読め」と資料を送り付ける式のやり方では駄目なんです。

 国連の枠組みでできることを研究し、それを果たすべく申請を整えていく。そういう点は左の人たちは実に進んでいて、例えばセックススレイブという言葉を編み出した弁護士の戸塚悦朗氏などはジュネーブになんと1992年から通い始めているのです。

 杉田氏 河野談話の前ですね。

 西岡氏 そう。朝日新聞が92年の1月に女子挺身隊として強制連行したというプロパカンダを爆発させたころですよ。われわれが「あれは問題だ」と言って国内で論争を始めた、その直後の時期に彼は日弁連のNGOの資格で人権委員会に持ち込んでいたわけです。

我々も学んだことがあった

 高橋氏 今回の一連の出来事のなかで我々も学んだことがありました。私は最初、事実関係に反論したほうがいいと考えていました。申請された写真が偽写真だとか、慰安婦の船だと言っているが、これは実は慰問団の船だといった指摘を積み重ねていました。ところが中国は申請案件を精選してきた。これでは私たちがいくら批判しても全然彼らは痛痒を感じない。そういう構造に気づいたのです。

 世界の記憶を審査する人たちは決して歴史家ではありません。アーキビストといって文書管理の専門家なんです。だから彼らに一番説得力がある方法は歴史の事実に基づく反論ではなく、むしろ制度面、つまり世界の記憶が制度としていろいろな欠陥を抱えていると訴えるよう切り替えたのです。例えば議事録が公開されておらず不透明だといった具合に誰もが反対できない普遍的な観点から問題提起をしたのが奏功した。

「赤い国連」と難じても始まらない

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