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【矢板明夫の中国点描】「地球上から人間が突然消えたよう」 “暗黒の木曜日”に巻き込まれた王全璋弁護士は今どこに?

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【矢板明夫の中国点描】
「地球上から人間が突然消えたよう」 “暗黒の木曜日”に巻き込まれた王全璋弁護士は今どこに?

拘束される前の王全璋弁護士(左)と家族。撮影日時、場所不詳(支援者提供) 拘束される前の王全璋弁護士(左)と家族。撮影日時、場所不詳(支援者提供)

 李氏はこれまで、警察、司法当局に対し数え切れないほど家族面会を要請したほか、前後して計5人の弁護士を依頼して接見を申し込んだが、当局から無視され続けた。

 王氏と一緒に拘束された弁護士の多くは、国家転覆罪で起訴された。「インターネットなどを通じて中国の政権や法律制度を非難、陳情者らと共謀し、政権転覆を謀ろうとしたこと」などが罪状で、欧米の人権団体から補助金をもらったことを理由にスパイ罪に問われた人もいた。

 王氏は約10年前から当局に迫害された気功団体、法輪功の信者の弁護を引き受けるなど、これまでも治安当局に拘束されたことがあった。近年は、密室裁判を批判される中国司法の透明化を求めて、弁護士の署名活動を呼びかけたことなどが当局の逆鱗に触れたと支持者が分析している。

 「暗黒の木曜日」は習近平政権による人権派弁護士への締め付け強化を象徴する事件といわれている。これまでに釈放された弁護士たちは、国営テレビに出演し、警察が書いたシナリオ通りに罪を認めた人が多かった。

 しかし、「正義感が強く、当局に協力しそうにない王氏は激しい暴行を受けた可能性がある」と支持者たちは心配している。

 王氏と一緒に拘束された李和平弁護士は昨年5月に約2年ぶりに釈放されたが、黒髪が真っ白になり、65キロほどあった体重が50キロほどに減った。家に入ったとき、長女が父親だと気づかないほど変わり果てていたという。

 米国とドイツの在中国大使館は昨年末、王氏の無条件釈放を求める声明を発表するなど、国際社会で王氏を支援する輪が広がっているが、中国政府への圧力には至っていないようだ。

 王氏の親友で支持者の葛文秀弁護士はツイッターで王氏に訴えた。「(もう十分がんばったから)中央テレビに出て罪を認めたらどうか。あなたが生きていることを私たちに知らせてほしい」(外信部次長)

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