産経ニュース

【矢板明夫の中国点描】「地球上から人間が突然消えたよう」 “暗黒の木曜日”に巻き込まれた王全璋弁護士は今どこに?

ニュース プレミアム

記事詳細

更新

【矢板明夫の中国点描】
「地球上から人間が突然消えたよう」 “暗黒の木曜日”に巻き込まれた王全璋弁護士は今どこに?

拘束される前の王全璋弁護士(左)と家族。撮影日時、場所不詳(支援者提供) 拘束される前の王全璋弁護士(左)と家族。撮影日時、場所不詳(支援者提供)

 2015年7月末、北京の人権派弁護士、王全璋(おう・ぜんしょう)氏は治安当局が自分をマークしていることに気づき、故郷の山東省で暮らす両親に次のような内容の手紙をしたためた。

 「これから、当局にコントロールされているメディアが私のことを憎むべき悪人のように歪曲するかもしれませんが、あなたたちの息子を信じてください。あなたたちから引き継いだ善良で誠実な生き方を私はこれまでに一度も捨てたことはありませんでした」

 弱者の人権を守り、中国をよい国にするため、自分は犠牲を払わなければならないことを手紙で強調した王氏は、親孝行ができないことについて、「叩首」(ひざまずいて頭で地面をたたいておじぎする)という表現を2度も使ってわびた。

 この手紙を出してから約1週間後、王氏は当局に連行された。15年7月9日から8月上旬にかけて、中国各地で200人以上の弁護士、人権活動家らが一斉に拘束され、「暗黒の木曜日」とも呼ばれた事件に巻き込まれた一人となった。

 あれから2年半が過ぎ、拘束された人々の多くは釈放されたが、中国当局に“主犯格”と認定された十数人の公判が開かれ、懲役7年の実刑判決が言い渡された人もいた。しかし、王氏の消息だけは一切表に出てきていない。

 王氏の妻、李文足氏は昨年末に欧米メディアの取材に対し「何の情報もない。まるで地球上から人間が突然消えたようだ。こんなに恐ろしく、野蛮なことがあっていいのか」と訴えた。

続きを読む

「ニュース」のランキング