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【クローズアップ科学】ヒトiPS細胞10年 山中伸弥・京都大教授に聞く 患者の思い胸に「これからが正念場」 

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【クローズアップ科学】
ヒトiPS細胞10年 山中伸弥・京都大教授に聞く 患者の思い胸に「これからが正念場」 

ヒトiPS細胞の発表から10年の思いを語る山中伸弥・京都大教授=10月30日、京都市左京区の同大iPS細胞研究所(寺口純平撮影) ヒトiPS細胞の発表から10年の思いを語る山中伸弥・京都大教授=10月30日、京都市左京区の同大iPS細胞研究所(寺口純平撮影)

 加齢黄斑変性という重い目の病気の患者からiPS細胞を作製し、網膜細胞を作って移植。今年3月には備蓄したiPS細胞を使って他人由来の網膜細胞を移植する手術にも成功し、既に計5人に実施した。

 臨床研究は18年に慶応大が脊髄損傷、大阪大が心不全を計画。横浜市立大も19年度以降に肝不全を目指しており、日本が世界をリードしている。ただ、その多くは細胞の移植で、複雑な構造を持つ立体的な臓器の移植はまだ先だ。

 iPS細胞は病態解明や創薬の研究にも活用されている。難病患者からiPS細胞を作り、体外で病気を再現して調べれば病気のメカニズムの解明につながるからだ。最近は運動機能に障害が出るパーキンソン病やALSなどの仕組みが少しずつ分かってきた。

 患者の細胞を量産して効果を試すことで、効率的に新薬を開発できる。全身の筋肉が骨に変わる進行性骨化性線維異形成症の治療薬候補がこの手法で見つかったほか、ALSやアルツハイマー病でも研究されている。しかし、再生医療より実用化が早いとみられていた当初の期待ほどには進展していない。

 課題は細胞作製の迅速化だ。iPS細胞や患部の細胞を作製するにはそれぞれ数カ月かかるため、人工知能(AI)の導入による効率化や作製法の改良研究などが活発化している。(科学部 伊藤壽一郎)

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