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【藤本欣也の中国探訪】
中国共産党の大粛清の歴史が始まった地を訪ねてみると…
中国共産党の第19回党大会がこのほど閉幕し、習近平指導部の2期目がスタートした。1921年の結党から96年、共産党の歴史は壮絶な権力闘争と粛清の連続だったと言っていい。その出発点になったという中国南方の村を訪ねた。
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北京から飛行機で約3時間、江西省南部の小さな空港に降り立ったのは10月下旬である。午後7時すぎ、こぢんまりとした到着ロビーに出ると、警官の一群がものものしく警戒に当たっていた。
当時、北京ではまだ党大会を開催していたとはいえ、こんな田舎にも厳戒態勢がしかれているとは想定していなかった。嫌な予感がした。
この日は市内のホテルに投宿する予定にしていたが、こんな状況だと、翌朝、警察のみなさんがフロントで待ち受けている可能性が大である。
ホテルにチェックインする際、身分証明書を提示しなければならず、居留許可証には「記者」と明記されてあるため、ホテル側から当局に間違いなく連絡が行く。運が悪いと、その日の夜遅く、警官が部屋に押しかけてくることもある。
「何しに来たんだ」。取材理由を問いただすのが彼らの仕事である。もちろん取材当日もずっと尾行され、取材相手に迷惑が掛かることもある。