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【矢板明夫の中国点描】毛沢東の孫の落選が語るもの… 習近平氏は軌道修正したのか

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【矢板明夫の中国点描】
毛沢東の孫の落選が語るもの… 習近平氏は軌道修正したのか

 毛氏は40歳のときに少将に抜(ばっ)擢(てき)され、42歳で党大会代表に選ばれるなど同世代の中では最速で出世した。「いずれは中国人民政治協商会議副主席といった名誉職に就くだろう」とみる共産党関係者も多かった。中国国内では貧困層を中心にいまだ根強い毛沢東人気がある。毛の子孫を優遇することで、政権の求心力を高める狙いもあるのだろう。

 しかし、今回の党大会で、毛新宇氏は大方の予想に反して代表に選ばれなかった。出世街道でつまずいた形だ。今後の昇進は困難との観測まで浮上している。「毛氏の風貌と言動が軍のイメージを低下させることが原因」と分析する香港メディアもあるが、「習近平思想が党の規約の中に盛り込まれる動きと関連しているのでは」とみる共産党関係者もいる。

 中国共産党の指導指針として「毛沢東思想」が規約に明記されている。習派は今秋の党大会で、その指導指針に「習近平思想」を新たに加えることを目指している。実現すれば、習氏は毛沢東と同等の歴史的地位を手に入れることになる。

 しかし、党総書記に就任して5年しかたっておらず、実績もほとんど残していない習氏が毛沢東と並ぶことに党内から強い反発が起きている。

 祖父を尊敬してやまない毛新宇氏だが、この事態をどれだけ深刻に捉えているだろうか。今後、シンボルとして反習近平勢力に担がれる可能性もあり、習氏側の警戒が強まるのは必至だ。ある党関係者は「毛氏がこれからメディアに取り上げられることも減るだろう」と寂しそうにつぶやいた。(外信部次長)

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