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【正論10月号】重慶市書記の失脚で中国共産党内の抗争が激化している! 習近平派VS江沢民派VS共青団 仁義なき利権争奪戦へ 評論家・宮崎正弘

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【正論10月号】
重慶市書記の失脚で中国共産党内の抗争が激化している! 習近平派VS江沢民派VS共青団 仁義なき利権争奪戦へ 評論家・宮崎正弘

(左から)孫政才氏、陳敏爾氏 (左から)孫政才氏、陳敏爾氏

※この記事は、月刊「正論10月号」から転載しました。ご購入はこちらへ。

 秋の中国共産党第十九回党大会を前に、北京中南海が大揺れに揺れている。  

 7月10日。突然、重慶市書記の孫政才が失脚し、貴州省書記の陳敏爾が後釜を引き継いだ。  

 孫政才は胡錦濤前政権時代に共青団(共産主義青年団=「団派」ともいう)のライジングスターと言われ、49歳で農業相、第十八回党大会で政治局員に抜擢された。このため一時は次期首相候補として有力視されたこともあった。  

 前の重慶市書記で、習近平最大の政敵だった薄煕来時代の汚職体質が一掃されなかった責任云々と取って付けたような理由が並べられ、あるいは孫夫人の汚職にあるともされた。  

 しかし北京の情報筋に言わせると、習近平は子飼いの陳敏爾を取り立てるために孫が邪魔だったのである。あらたに重慶市書記となった陳敏爾は浙江省時代からの習近平の子飼いで、習近平が浙江省書記のおりは党宣伝部長を務めた。“二階級特進”で貴州省書記になったときも想定外の人事だったので驚かれた。  

 要するに習近平は、この陳敏爾のような田舎者、方言丸出しの木訥男が好きなのである。庶民性を売り物とするからには、エリート臭の強い大学優秀卒業の団派は体質に合わないというわけだ。  

 政治における派閥均衡、人脈のバランスから言えば、貴州省という田舎から重慶特別市への「横滑り」人事は中国共産党ランキングで大出世である。すでに陳敏爾は205名いる中央委員メンバーであり、次期政治局入りは間違いないとされる。

 孫政才は団派同士では、もう一人のライジングスター胡春華とのライバル関係にあった。ところが孫はいつしか共青団人脈から習近平に近づいたため胡錦濤人脈から嫌われてきた。  

 胡春華は広東省書記だが、このポストは一貫して反主流派の大物が抑える。前任者の汪洋(現副首相、次期首相候補のひとり)は国際的にも顔が広く、日本の要人が訪中すると必ず面会するのも彼なら、米国との戦略対話の中国側の責任者も彼でもある。四月の習近平訪米では、米国大統領トランプとの首脳会談で習の隣席に座った。  

 さて人事をめぐる本格的な派閥争いが、表面に出始めた。孫政才の失脚による玉突き現象も広がり、次期執行部の顔ぶれはまだ霧の中だが、これまでの動きをざっと振り返ることによって構造的対立の図式が浮かんでくる。  

 大雑把にいうと中国共産党の権力対立は、習近平派 VS 江沢民派(上海派)という構図だが、これに加えて習派と団派との対立も顕著になってきた。当初、強力な派閥をもたない習近平は団派と共闘関係にあったが、朋友の王岐山(政治局常務委員。中央紀律検査委員会=以下、紀律委=書記)は反腐敗キャンペーンで「大虎も子蠅も」汚職幹部は容赦しないとし、軍人で江沢民派だった徐才厚と郭伯雄を血祭りに上げ、薄煕来に次いで、検察司法を抑えていた周永康を追い落とした後、その勢いあまって団派の大番頭だった令計画を拘束し裁判にかけた(無期懲役)。

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