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【月刊正論8月号】鼻血の「福島の真実」は問題作 美味しんぼ原作者の雁屋哲さん グルメ漫画で庶民を断罪して悦に入る? 中宮崇

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【月刊正論8月号】
鼻血の「福島の真実」は問題作 美味しんぼ原作者の雁屋哲さん グルメ漫画で庶民を断罪して悦に入る? 中宮崇

「美味しんぼ」に描かれた原因不明の鼻血のシーン=小学館の漫画雑誌「週刊ビッグコミックスピリッツ」2014年の5月12、19日合併号 「美味しんぼ」に描かれた原因不明の鼻血のシーン=小学館の漫画雑誌「週刊ビッグコミックスピリッツ」2014年の5月12、19日合併号

 しかし、雁屋氏が憧れた「地上の楽園」は、原住民アボリジニに対する態度を見ても分かるように、日本とは異質の差別がはびこる国であった。アジアの有色人種である自分が白人たちから差別される現実に直面したのか、第65巻収録の「オーストラリアの危機〈中編〉」ではそれまでの主張を一転させ、オーストラリアの差別主義を痛烈に批判している。  

 さらに、このエピソードでは登場人物の口を借りて、オーストラリアで差別主義が台頭しつつあるという論を紹介。この登場人物には「とにかく今はあまり行かないほうがいいと思いますが…」とまで言わせ、日本人がオーストラリアを観光で訪れることさえも危険であると主張している。  

 ちなみに、外務省の海外安全情報でそうした危険性は告知されていないが、カリーの脳内では渡航を差し控えるほどの危険性が差し迫っているように映ったようだ。  

 雁屋氏は転向の背景について、オーストラリアがかつての多文化主義から現在の差別主義に変わってしまったからであると、あくまでも原因は自分にはないと主張したいようだ。しかし、かつて「白豪主義」を掲げ、原住民を虐殺して土地を奪ってきたこの国の歴史を考えれば、差別と無縁な理想郷ではない事は移住するまでもなく分かるはずである。  

求められるのは読者の「叱咤」

 とまれ、雁屋氏のような頑固者でも現実に直面すれば盲信を改めてくれることは分かった。自らを「まともな市民」であると思い込んでいるカリーに真人間に立ち戻ってもらうためには、何よりも彼の「申し立て」の滑稽さを指摘することが求められている。  

 例えば『美味しんぼ』を愛したかつての読者が「グルメ以外の変なこだわりは止めて、昔に戻ってくれ!」と強く言い続ければ、かつての名作は「政治的に偏ったおかしな漫画」として朽ち果てていくのではなく、読者の心を癒やす漫画として再生するはずである。 

 「破壊神カリー」の才能を有効利用するためには、読者の優しくも厳しい叱咤が不可欠だ。他人に厳しく自分に甘い“幼児”に指導が必要なのは、古今東西変わらない。

 中宮 崇(なかみや・たかし)氏 昭和45(1970)年生まれ。豊橋技術科学大学卒。名古屋大学大学院経済学研究科除籍。サヨクやインターネットの事情に詳しいフリーライター。著書に『天晴れ!筑紫哲也NEWS23』(文春新書)。

※この記事は、月刊「正論8月号」から転載しました。ご購入はこちらへ。

          ■8月号 主なメニュー■

【小池劇場と不甲斐なき政治家たち】

★ふくらんだ期待がしぼんでいる… 小池よ、急げ 今ならまだ安倍と“共闘”できるぞ政治評論家 屋山太郎 

★小池百合子東京都知事 独占告白! 私はマクロンに…/9条3項は唐突  

★拝啓 小池百合子さま 「自分ファースト」になっていませんか? 大田区議会議員 犬伏秀一 

★拝啓 安倍晋三さま 自民党を鍛え直さないと、官邸主導だけでは限界です 文藝評論家 小川榮太郎 

★拝啓 蓮舫さま 民進党は消費期限切れではないのですか?  経済評論家 上念司

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★『九十歳。何がめでたい』が大ヒット 佐藤愛子 おめでたい日本の男たち 

★前川喜平を持ち上げるワイドショーは、やっぱりおかしい  麗澤大学教授 八木秀次 

★女性宮家が皇室を滅ぼす  作家 竹田恒泰 

★スポンサーにNHKも…欧州の反日フリーペーパーはこんなにヒドい  前衆議院議員 杉田水脈 

★大きなお世話だ!デービット・ケイ 国連特別報告者 のウソ  衆議院議員 長尾敬

★シリーズ日本虚人列伝 「美味しんぼ」原作者 雁屋哲  サヨクウォッチャー 中宮崇 

★ネコにネットを支配させたままでいいのか  THE PAGE編集長 奥村倫弘

★復活のゼロ 再び日本の空に  ゼロ戦オーナー   石塚政秀

★安倍首相は知っているのか 抜け穴だらけの北朝鮮制裁  元国連北朝鮮制裁委員会専門家パネル委員 古川勝久 

★江沢民派VS習近平派の死闘 権力闘争完全図解 ノンフィクション作家 河添恵子 

★シミュレーション 北の核が日本に落ちたら  札幌医科大学教授 高田純 

★激突! 正論コロシアム 日本の核武装は是か非か  元陸将補 矢野義昭 VS 軍事アナリスト 小川和久 

★中国“一帯一路”構想の陰で  激化するウイグル弾圧 ジャーナリスト 大高未貴 

★利用される陛下のカギ括弧発言    麗澤大学教授 八木秀次 

★新連載! 読売テレビ・チーフプロデューサー結城豊弘 「シネマ異聞 そこまで言う?!」

【真ん中グラビア漫画】西原理恵子  ぬるま湯 正論

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【特集 憲法改正へ苦渋の決断】

★自衛官は自らを肯定する憲法を守りたい  元空将 織田邦男 

★9条改正へ 自民党総裁の覚悟  自民党選対委員長 古屋圭司 

★「安倍政権下はダメ」は通用しない  民進党衆議院議員 北神圭朗 

★蓮舫さんが反対? そんなもんホッとけば  日本維新の会幹事長 馬場伸幸

★戦時国際法に適った憲法改正を  評論家 江崎道朗 

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★「9条3項」提案に右往左往… がんばれ!瀕死の民進党  政治評論家 筆坂秀世 

★憲法違反もインチキも 護憲のためなら知らぬふり  大阪大学名誉教授 加地伸行 

※この記事は、月刊「正論8月号」から転載しました。ご購入はこちらへ。

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