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【月刊正論8月号】鼻血の「福島の真実」は問題作 美味しんぼ原作者の雁屋哲さん グルメ漫画で庶民を断罪して悦に入る? 中宮崇

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【月刊正論8月号】
鼻血の「福島の真実」は問題作 美味しんぼ原作者の雁屋哲さん グルメ漫画で庶民を断罪して悦に入る? 中宮崇

「美味しんぼ」に描かれた原因不明の鼻血のシーン=小学館の漫画雑誌「週刊ビッグコミックスピリッツ」2014年の5月12、19日合併号 「美味しんぼ」に描かれた原因不明の鼻血のシーン=小学館の漫画雑誌「週刊ビッグコミックスピリッツ」2014年の5月12、19日合併号

 『「在特会」に自分の人権を主張する権利はない』と題した投稿に目を通すと、「幼児が大人の口まねをしてトンチンカンなことを言って大人を笑わせることってありますよね」「『許可を得たデモ』であれば、他の人間の人権を害しても、他の人間に精神的、経済的損失を与えていいというのかい。そう言う悪質なデモは妨害するのがまともな市民の義務なんですよ」と、実に手厳しい。  

 さらに雁屋氏はブログでこうも指摘している。長いが紹介する。「一方向しか見えず、しかも見る物が全てゆがんで見える眼鏡をかけているので、物事の真実が見えず、目の前の現実が全て自分の妄想に合わせてゆがんだ形に見える。『在特会』の方々には早く真人間に戻って、そのような妄想の世界から抜け出して貰いたいのだが、今はまだ妄想の世界にどっぷりとつかって狂騒状態にある。そのような状態にある方々の言葉は、いくら幼児の言うことのように滑稽だからと笑って見過ごしてはいけない。早く、『在特会』の方々に妄想からさめて真人間に立ち戻って頂くためにも、その『申し立て』の滑稽さを指摘して差し上げなければなるまい」 

 ご立派な物言いだ。確かにヘイトスピーチは認め難い。しかし、雁屋氏自らも“風評被害”を広めながら「他の人間の人権を害しても、他の人間に精神的、経済的損失を与えていいのか」と説教する態度には疑問を覚える。これが「他人に厳しく自分に甘い」と評さざるをえない所以である。 

捕鯨文化の擁護は功績大

 批判ばかりではフェアではない。ここで、彼が残した好影響も振り返りたい。 

 私が特に高く評価しているのは、日本の捕鯨文化を好意的に描いた「激闘!鯨合戦!」(単行本第13巻)だ。この中で主人公の山岡士郎は、捕鯨反対派であるカリフォルニア出身のジェフに対し、何の「刺身」か「当ててみろよ」と料理を振る舞う。ジェフは無邪気に「フグみたい!」と大喜びし、ぺろっとたいらげる。しかしそれはジェフが愛して止まないクジラの肉だったのだ!

 「刺身の正体」を明かされ、ジェフは当然のごとく激怒する。そりゃそうである。イスラム教徒を騙して豚肉を食べさせた日には、サヨク・リベラル諸氏から「ヘイトだ!」と糾弾されることは当然、下手をすると国際問題にさえなりかねない。

 手法の評価はともかく、雁屋氏は作品内でジェフに反捕鯨運動の欺瞞性を悟らせることに成功する。手段を選ばぬ山岡の暴走ぶりは、まるで「正直が常に正しいわけではない」を具現化したかのようである。愛称カリー。さすがヒンドゥー教の破壊神カリーと同名なだけはある。

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